ALLアプローチ協会 触診大好きセラピスト ブル と申します。
本日は1~3年目の理学療法士・作業療法士・柔道整復師・整体師など
新人セラピストの先生方に向けて
「母指球筋の解剖学×触診×リリースポイント」
というテーマについてお伝えしたいと思います。
どうぞよろしくお願い致します。
母指球筋は親指を動かした時の痛みはもちろんですが、
肩こりや四十肩の原因にもなります。
さらに姿勢では猫背の原因にもなってしまう筋なんです。
指を酷使するスマホやパソコン操作が多い現代ですし、
セラピストも日々「指」を使っていますので、
この母指球筋が原因で症状を引き起こす事が多いです。
ぜひここで一緒に学んでいけたらと思います♪
本日の目次です 1. 母指球筋っていくつ筋が集まってるの? 基礎知識のまとめ 2. 硬結を探す時、リリース時に必要な走行のイメージ 3. 肩こりと母指球筋 4. リリースポイント 5. 触診手順 |
の5ステップでお伝えしたいと思います。
【母指球筋っていくつの筋が集まっているの?】
母指球筋を構成しているのは
- 短母指屈筋
- 短母指外転筋
- 母指内転筋
- 母指対立筋
以上の4つの筋を合わせて母指球筋といわれています。
もしかしたら
母指球筋って手の親指の付け根のところにあるふくらみの部分でしょ。
ふくらみの部分をマッサージすればいいだけじゃん・・・
と思われるかもしれません。
確かに上記のような理解でもある程度の効果は出せると思います。
しかし、この4つの筋の走行や作用を知っておくと
筋硬結が探しやすくなりますし、
見つけた筋硬結を深く早くリリースするのに役立ちます。
なによりも狙いが明確になることで臨床が楽しくなりますよ♪
母指球筋の基礎情報を記載しておきますね。
〇短母指屈筋 起始:浅頭:屈筋支帯および大菱形骨 深頭:小菱形骨および有頭骨 停止:第1指の基節骨底の橈骨側 神経支配:浅層:正中神経 深層:尺骨神経深枝 作用:母指の基節骨(MP関節)を屈曲させる(尺側内転ともいう)。 対立運動にも補助的に関与する。
〇短母指外転筋 起始:舟状骨 大菱形骨 屈筋支帯 停止:母指の基節骨底橈側面 神経支配:正中神経 作用:母指の掌側外転(主にCM関節)
〇母指内転筋 起始:横頭:第3中手骨(掌側面) 斜頭:有頭骨、第2.3中手骨底 停止:母指の基節骨底の内側面 神経支配:尺骨神経 作用:母指CM関節の掌側内転 幅広く走行しているので対立や屈曲にも作用する
〇母指対立筋 起始:大菱形骨 屈筋支帯 停止:母指の中手骨の撓側縁 神経支配:正中神経 作用:対立運動(母指CM関節の対立運動) |
次に以上4つの筋の走行や深さの関係についてみていきたいと思います。
【硬結を探す時、リリース時に必要な走行のイメージ】
〇走行と作用
母指対立筋は最も外側で深層に位置
母指対立筋の内側に短母指屈筋が位置
さらにその内側に母指内転筋の斜頭 横頭が位置しています。
そして、母指対立筋と短母指屈筋を覆うように表層に位置しているのが
短母指外転筋です。
硬結を見つけてそれが何筋なのかを確認する際に
この走行のイメージはとても役立ちますし、
リリースする際にはポジションを意識すると
速く深くリリースできますので
この走行と位置関係のイメージは重要になってきます♪
【肩こりと母指球筋】
冒頭でも書きましたが、
現代ではスマホやパソコンなどデスクワークが多いため、
母指球筋の筋硬結が原因で肩こりになっている方も多いです。
母指球筋は
アナトミートレインで言うところのディープフロントアームライン(DFAL)
に属しています。
ディープフロントアームラインは
小胸筋➡烏口突起➡上腕二頭筋・上腕筋・烏口腕筋➡橈骨骨膜➡母指球筋
のつながりです。
母指球筋が硬くなることによってDFALを介して小胸筋に影響を及ぼしてしまいます。
そうすると小胸筋の硬さが肩甲胸郭関節など胸郭全体の制限を引き起こし、
猫背姿勢やストレートネックになる。
その結果
僧帽筋や肩甲挙筋、菱形筋など「肩こり筋」が伸張され
肩こりになってしまいます。
問診を行い、
指を酷使している方で肩こり(四十肩・五十肩も)で悩んでいる患者さんの原因は
もしかしたら母指球筋にあるかもしれません。
また、
セラピストも施術で酷使しているので
セルフケアとしてもおススメの場所です。
【リリースポイント】
リリースポイントはズバリ
「大菱形骨の場所」
ココはそれぞれの筋が密集している場所なので硬くなりやすいですね。
「それぞれの筋間」
ここは筋間をさくようにリリースしていきます。
以上は筋硬結や滑走不全が生じやすいおススメのリリースポイントです。
そして当たり前ですが、
「触って硬さを感じる場所」もリリースポイントです。
硬さを感じる場所が何筋に位置しているかがわかると良いですね♪
リリースする時は筋の走行を考慮したポジションをとると
深く、速くリリースできます♪
私は触って硬さを感じたら
それが何筋かを確認してポジションを意識しながら
ダイレクトに押圧してリリースする事が多いです(^^)
母指球筋の解剖学とリリースポイントについて動画でご覧になる方はこちらからどうぞ♪
では次に触診についてです♪
【触診方法】
<短母指外転筋>
最も表層に位置している筋。その深層に母指対立筋が位置している。
短母指外転筋の尺側には短母指屈筋が位置している。
〇ランドマーク:舟状骨 大菱形骨
〇触診手順:
- 起始部のランドマークを触察
起始部のランドマークである舟状骨と大菱形骨、そして母指中手骨を触察します。
舟状骨は手首の中央かつやや橈側寄りを触るとある骨隆起です。
この骨隆起は舟状骨結節と大菱形骨結節が合わさったものです。
大菱形骨は母指中手骨を近位にたどっていくとみつけやすいと思います。
この起始部(舟状骨・大菱形骨)と
母指基節骨底を結んだ線上に短母指外転筋が位置しています。
- 触察
起始部周囲に手を当て、停止部に向かって触察していきます。
確認の方法は母指CM関節の掌側外転を反復しながら行います。
この時、長母指外転筋の影響を排除するために
手関節掌屈位にすると触察しやすいです。
〇ワンポイントアドバイス
短母指外転筋の内側(尺側側)に短母指屈筋が位置しています。
掌側外転では弛緩し、母指屈曲(尺側内転)で収縮する
短母指屈筋との鑑別をしてみて下さい。
ここの筋間はリリースポイントです。
短母指外転筋の触診動画はこちらからご覧ください♪
<短母指屈筋>
短母指外転筋の尺側に位置する。わりとわかりやすい筋です。
〇ランドマーク:大菱形骨 小菱形骨 有頭骨
〇触診の手順
- 起始部のランドマークを触察
大菱形骨・小菱形骨・有頭骨の位置を確認します
大菱形骨は中手骨を近位にたどると触察できます。
(大菱形骨と中手骨底を間違えないように注意して下さいね)
小菱形骨は示指の延長上をイメージして触察します。
そしてその尺側にあるのが有頭骨ですね。
この起始部から母指の基節骨底に向かって走行しています。
さきほどの短母指外転筋の尺側に位置していますよ♪
- 触察
長母指屈筋の影響を排除するために、掌屈位で行うと触察しやすいかと思います。
起始部に手を当て、MP関節屈曲(尺側内転)に伴う収縮を確認しながら
触察していきます。
〇ワンポイントアドバイス
短母指屈筋の橈側には短母指外転筋が位置しています。掌側外転では収縮し、
MP関節屈曲(尺側内転)では弛緩する短母指外転筋との鑑別をしてみて下さい。
ここの筋間はリリースポイントになります。
短母指屈筋の触診動画はこちらからご覧下さい♪
<母指対立筋>
短母指外転筋の深層にあり、かつ短母指外転筋の外側に少しだけ顔をだす。
〇ランドマーク:大菱形骨
〇触診方法
- 起始部の大菱形骨と母指中手骨の橈側縁を触察
中手骨を近位にたどり大菱形骨を触察します。
ここから中手骨の橈側縁に向かって走行しているのが母指対立筋です。
- 触察
対立運動を反復して収縮を確認します。
短母指外転筋の深層にあるので間違えないように注意します。
より橈側にあるのが母指対立筋です。
ほんの少しだけ顔出しているという感じです。
この短母指外転筋と母指対立筋の筋間もリリースポイントになります。
母指対立筋の触診動画はこちらからご覧ください♪
<母指内転筋>
母指球筋で最も内側(尺側)にある筋
〇ランドマーク:第2.3中手骨底 有頭骨 第3中手骨
〇触診方法
- 起始部周囲の触察(有頭骨 第3中手骨底 第3中手骨)
有頭骨は第3指の延長上にあるので、
第3中手骨を近位にたどっていくと有頭骨を触察できます。
有頭骨を見つけたら、有頭骨と第2.3中手骨底に指をあてます。
- 触察
斜頭:
有頭骨・第2.3中手骨底~母指基節骨底内側面にむかって走行している
斜頭をイメージしながら触察します。
確認の方法は母指掌側内転をしながらその筋収縮を確認します。
(対立運動ではその他の母指球筋も働くため触り分けが難しい)
横頭:
第3中手骨~母指基節骨底内側面に向かって走行している
横頭をイメージしながら触察します。
確認の方法は斜頭と同じように母指掌側内転をしながら筋収縮を確認します。
母指内転筋の触診動画はこちらからご覧ください♪
各筋の触診動画の中で、
セルフメンテナンス方法もお伝えしていますので、
ぜひ動画の方もご覧くださいね♪
本日は以上になります。
最後までブログをご覧頂き、本当にありがとうございましたm(__)m
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