皆さんこんにちは!
ALLアプローチ協会 代表 山口拓也です。
いつも当協会の公式ブログをお読みいただき、誠にありがとうございます。
今回は、
【五十肩】筋膜・経絡・内臓のつながりから治療効果を高める思考法とは?
というテーマでお話していきます。
「五十肩」を診るときに、
ほとんどの患者様で、可動域や疼痛に変化が出る筋肉が、
「腕橈骨筋」です。
これは、筋膜の勉強をされているセラピストであれば、有名な話だとは思います。
しかしながら、「腕橈骨筋」だけの治療では当然、解決しないことがほとんどだと思います。
そこから、他の筋や内臓などを評価していき、治療を展開するとは思いますが、
・なかなか痛みが取りきれない。
・他の原因が分からない。
と治療が行き詰まることがあると思います。
そこで今回は、「腕橈骨筋」の治療で変化が出たというヒントから、
経絡・内臓で原因になりやすい部位を推測し、
・より大きな変化を出すことが出来る。
・もどりを抑えることができる。
・治療効果を最大化することができる。
といった、五十肩治療のアイデアとヒントをご紹介していきます。
そして、「腕橈骨筋」以外の筋から、
どの経絡・内臓が原因となりやすいか?
いくつかご紹介していきます。
① 腕橈骨筋で変化が出る場合。
<経絡>
大腸経、肺経
<内臓>
大腸、肺
<筋>
横隔膜
右肩の場合、回盲・上行結腸曲
左肩の場合、S状結腸・下行結腸曲
② 内側上顆(前腕屈筋群)の場合
<経絡>
心経
<内臓>
心臓
③ 長掌筋の場合
<経絡>
心包経
<内臓>
心臓
④ 小指球筋の場合
<経絡>
小腸経
<内臓>
小腸
⑤ 鎖骨下筋の場合
<経絡>
肺経
<内臓>
肺
では、実際にこの繋がりから治療を展開したことで、
結果を出すことが出来た症例についてご紹介いたします。
【症例紹介】
<パーソナル情報>
50代女性。
診断名:右肩関節周囲炎
主訴:右肩を動かすと痛い。早朝に肩が痛くなる。
HOPE:右肩を痛みなく動かせるようになりたい。肩の痛みがなく起きられるようになりたい。
~1回目の治療~
<評価>
関節可動域(ROM):右肩屈曲120°p。
疼痛:安静時に右肩重量感あり。右肩屈曲最終域で増悪。NRS6~7。
触診:腕橈骨筋、母指球筋、外側筋間中隔に硬結あり。
筋ストレッチテスト:腕橈骨筋(++)。母指球筋(+)、外側筋間中隔(+)
<治療>
腕橈骨筋、母指球筋、外側筋間中隔を軸圧法・ポジショナルリリースで調整。
<反応>
ROM:右肩屈曲145°p
疼痛:安静時の右肩重量感変化なし。右肩屈曲最終域の疼痛 NRS2~3。
~1週間後~
<問診>
・治療したその日は右肩の痛みは良好。
・翌日の朝には増悪。その後は痛みが初日の治療前の状態に戻った。
・朝5時過ぎに右肩の痛みが強くなる。
<評価>
経穴圧痛テスト:大腸経の井穴と合谷(経穴)に圧痛あり。
内臓反射点:右母指球近位(回盲)、右水かき中央(肝臓)
<治療>
① 大腸経の調整(井穴マッサージ、エネルギー調整)
② 回盲、上行結腸曲、肝臓の調整
③ 腕橈骨筋、母指球筋、外側筋間中隔の調整
<反応>
ROM:右肩屈曲150°p
疼痛:右肩安静時痛消失。右肩屈曲最終域の疼痛 NRS1~2。
~2回目の治療から1週間後~
<問診>
・早朝の右肩痛軽減。
・1週間後も可動域150°を維持
・NRS1~2の疼痛の程度を維持できていた。
【まとめ】
今回は、
「五十肩治療」、「腕橈骨筋」を例に、
筋膜・経絡・内臓の繋がり、関係性から診る評価と治療をお伝えしました。
もちろん、
この考え方は、腰痛や肩こり、頸部痛、歩行、ADLなど、
様々な症状や主訴を解決する目的にも使えます。
私はこれまで、
筋膜は筋膜、内臓は内臓、経絡は経絡と、
別々分けて評価・判断・治療といった展開をしてきていました。
しかしながら、
このように、一つの筋から他のカテゴリへと並列的に原因を考えていくことで、
臨床の幅が広がっていきました。
結果的には、様々な角度から患者様を捉え分析できるので、
より深い原因までアプローチができ、
安定した結果やより大きな治療効果を出すことができます。
そしてそれが、患者様の問題解決や希望を叶えることに繋がっていきます・
是非、こういった考え方も参考にしていただき、
皆さんの臨床で活用していただけたらと思います。
本日は以上になります。
最後まで当協会の公式ブログをお読みいただき、誠にありがとうございました!
ALLアプローチ協会 代表 山口拓也