筋膜リリース

股関節テクニックにおける動作・筋肉・アライメントの評価について

みなさん こんにちは

ALLアプローチ協会 代表 山口拓也です。

本日は、
「股関節テクニックにおける動作・筋肉・アライメントの評価について」
というテーマでお伝えさせて頂きます。

【股関節の運動・筋肉・アライメントについて】

股関節は皆さんも治療することが多いと思います。

身体の真ん中にある関節ということもあって全身の痛みに関与してきます。

特に腰痛、膝痛に必ずと言っていいほど関与しています。

そして股関節の検査もされていると思いますが、ちなみ皆さんは、股関節の正しい動き、関係している筋肉やそれに伴うアライメントの評価はできていますか?

『左右比べてなんとなく硬い方を治療している』『痛みがあるほうを治療している』など当てずっぽうに治療をしていませんか?

間違った検査、治療は返って患者さんの状態を悪くしてしまう可能性がありますので、今回は股関節について基礎から詳しく説明していきます。


<目次>

①股関節の6つの運動

②股関節に影響を及ぼす筋群

③まとめ

①股関節の4つの運動

◆屈曲

前額軸を中心に前方に動く。

屈曲の正常可動域は125度。

股関節が屈曲している間、大腿骨頭はわずかに後方にすべる。

◆伸展

前額軸を中心に前方に動く。

伸展の正常可動域は10度。(立位アライメントでは0度になる)

股関節が屈曲している間、大腿骨頭はわずかに前方にすべる。

骨盤が常に後傾している人は、常に股関節が10度伸展位にある。

また骨盤後傾に加えて、膝関節過伸展位(反張膝)の人は、、立位において股関節が20度伸展位なることもある。

◆内旋

垂直軸に生じ、大腿前面は正中矢状面へ向かう。

正常可動域は45度であるが、可変的。

大腿骨の前捻があるものは、股関節の過剰な内旋があるよう見える。(女性が多い)

副運動は後方すべり。

※副運動とは骨運動を伴わない関節面相互の運動。

◆外旋

垂直軸に生じ、大腿前面は正中矢状面から離れていく。

正常可動域は45度であるが、可変的。

大腿骨の後捻があるものは、股関節の過剰な外旋があるよう見える。(男性が多い)

副運動は前方すべり。

◆外転

外側へ正常矢状面から遠ざかる動き。

正常可動域は45度。

外転中は大腿骨頭は下方にすべる。

◆内転

外側へ正常矢状面から向かう動き。

正常可動域は10度。

外転中は大腿骨頭は上方にすべる。

ここまでは簡単なおさらいですね。

次の項目から重要になってきます。

②股関節に影響を及ぼす筋群

◆股関節に影響を及ぼす前面の筋群

・腸腰筋

股関節の屈曲とわずかな外旋を行う。

腸腰筋は最終可動域を屈曲することができる唯一の筋肉です。

腸腰筋と言えば、腰痛のテッパン筋ですね。

・大腿筋膜張筋―腸脛靭帯

股関節を屈曲、内旋、外転する。

膝関節伸展位では膝関節の安定させるように働く。

大腿筋膜張筋は脛骨粗面に外側から付着しているので、膝関節が安定していない場合は脛骨に外旋を生じさせ、

また、膝蓋骨にも側方から付着しているので、膝蓋骨の外側すべりに関与します。

つまり膝痛に関与してくるケースが多いということです。

大腿筋膜張筋は短縮、硬化しやすく、筋テストにおいて腸腰筋の弱化と間違えられやすいですので、屈曲時痛は大腰筋だけでなく、大腿筋膜張筋の治療も忘れずに。

内旋筋であることから、骨盤の回旋を生じさせることがあるので、骨盤の評価にも使ってみてください。

・縫工筋

股関節を屈曲、外側、外転する。

膝関節を屈曲、内旋する。

私の経験上、縫工筋は細い筋肉ですが、停止部に硬結ができやすく、膝痛の一因となることが多いように感じます。

・大腿直筋

股関節の屈曲と膝関を伸展する。

股関節に影響を及ぼす後面の筋群

・大殿筋

股関節を伸展、外旋する。

上部繊維は股関節の外転、下部繊維は股関節を内転する。

大腰筋に次ぐ、腰痛テッパン筋です。また膝痛にもテッパンです。

大殿筋の約80%は腸脛靭帯に入り込むため、股関節の内転制限に関与することがある。

また、股関節屈曲位の座位をとるとき、大殿筋の短縮は代償的な腰部屈曲の一因となります。

大殿筋の活動が低下すると、寛骨臼の大腿骨のコントロールを損ない、骨盤後傾や過度のスウェイバック姿勢を生じさせます。

※スウェイバック姿勢とは、骨盤が前方に移動し、背骨が本来のカーブを失っている姿勢・

本来、背骨はS字状のカーブを描いているが、腰から胸の背骨が長く反った状態になり、

首周辺の背骨で急激にカーブを作る。

ということは、猫背などの不良姿勢の方は股関節から調整していく必要があり、また首痛などにも関与していることになります。

・中殿筋後部

股関節を伸展、外転、外旋する。

後部繊維は

①過剰に伸張している

②弱化している

の2種類のパターンに分けられます。

①のケース

外転最終可動域を保持出来ず、最終外転位から10~15度内転させた位置では、強い抵抗を示す時。

痛みは股関節の運動中に生じる。

②のケース

また外転最終可動域を保持出来ず、全可動域で僅かに抵抗できる時。

筋腹に痛みが伴うことが多い。

・中殿筋前部

股関節を外転、内旋する。また股関節の屈曲の補助。

姿勢補助筋。

通常、前部繊維の筋力は強く、股関節の過剰な内旋傾向を促進することがある。

中殿筋全体の短縮は、腸骨稜の高さの変位につながり、腰部側屈による神経根圧迫につながることがある。

つまり、トレンデレンブルグ歩行と関与している。

姿勢、歩行に関与していることから、足首の痛みは中殿筋で取れることが多いですね。

・小殿筋

股関節を外転、内旋する。また股関節の屈曲の補助。

・梨状筋

股関節を外旋、伸展する。また股関節屈曲位では、外転に作用する。

梨状筋症候群では、梨状筋の短縮よりも過剰に伸張しているケースが多い。

・内・外閉鎖筋、上・下双子筋

股関節の外旋筋。また股関節の外転を補助する。

これらの筋群は非常に硬化しやすく、先ほどもお伝えしたスウェイバックの要因になる。

また、骨頭の後方すべりを阻害することがあり、股関節屈曲時に鼠径部前面の要因になることがある。

鼠径部前面の痛みは大腰筋がメジャーとなることが多いですが、それで取れきれない痛みは、この筋群も評価してみてください。

また走行上坐骨神経付近ありますので、坐骨神経痛にも有効です。

◆股関節に影響を及ぼす内側の筋群

・恥骨筋

股関節を内転、内旋する。

・薄筋

股関節の内転、膝関節を内旋、屈曲する。

・長・短・大内転筋

股関節を内転、屈曲する。

大内転筋に関しては、前部繊維は屈曲、後部繊維は伸展に関与する。

殿筋を治療する際は内転筋も治療すると、治療効果は上がります。

③まとめ

股関節には数多くの筋肉が付着していることから、あらゆる痛みと関係しています。

ですから、まず姿勢やアライメントを評価する際は、股関節から診てみてください。

恐らく、取り切れない痛みの原因や、戻りの原因が分かってくるはずです。

実際、手首の腱鞘炎の原因が股関節にあることもあります。

それぐらい股関節は重要な関節になってきますから、この際に是非復習してみてくださいね。

では、本日もお読みいただきありがとうございました。

ALLアプローチ協会 代表 山口拓也

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