こんにちは。
ALLアプローチ協会の山口です。
頭蓋仙骨療法というと、
後頭骨・側頭骨・蝶形骨・前頭骨
などに注目することが多いと思います。
しかし、顔面頭蓋まで視野を広げたときに、ぜひ詳しく知っておきたい骨があります。
それが、
頬骨(zygomatic bone)
です。
頬骨というと「頬の出っ張っている部分」というイメージが強いですが、実際にはそれだけではありません。
頬骨は、
前頭骨・蝶形骨・側頭骨・上顎骨
という4つの骨と関節し、さらに眼窩や頬骨弓の形成にも関係しています。
つまり頬骨は、顔面の外側に存在する小さな骨でありながら、
頭蓋底・眼窩・上顎・側頭部をつなぐ重要な位置
にあります。
今回は頭蓋仙骨療法を行うセラピストに向けて、施術方法よりもまず知っておきたい頬骨周囲の解剖学を詳しく解説します。
【そもそも頬骨とは?】
頬骨は左右一対存在する顔面頭蓋の骨です。
顔を正面から見たときには、頬の外側にある隆起を形成しています。
しかし立体的に見ると、頬骨はかなり複雑な形をしています。
頬骨は大きく、
外側面
側頭面
眼窩面
などに分けて考えることができます。
そして、
前頭突起
側頭突起
上顎突起
を介して周囲の骨とつながっています。
頬骨を理解するときに重要なのは、
「頬骨単体を覚えないこと」
です。
頬骨は周囲の複数の骨と連結することで、顔面頭蓋の立体的な構造を形成しています。
そのため頭蓋仙骨療法において頬骨を考える場合も、
「頬骨の周囲に何があるのか?」
を理解することが非常に重要になります。
【頬骨は4つの骨とつながっている】
頬骨を理解するうえで、まず覚えておきたいポイントです。
頬骨は、
前頭骨
蝶形骨
側頭骨
上顎骨
の4つと関節します。
上方では前頭骨。
後内側では蝶形骨。
後方では側頭骨。
前内側では上顎骨。
この位置関係を見ると、頬骨が単なる「頬の骨」ではないことが分かります。
特に頭蓋仙骨療法で頻繁に扱われる蝶形骨・側頭骨と直接関節している点は重要です。
さらに前頭骨や上顎骨ともつながっているため、
頭蓋冠・頭蓋底・眼窩・顔面頭蓋
を結ぶ位置に頬骨が存在していることになります。
【頬骨周囲にある4つの重要な縫合】
4つの骨との境界には、それぞれ縫合があります。
代表的なのが、
頬骨前頭縫合
蝶頬骨縫合
頬骨側頭縫合
頬骨上顎縫合
です。
頬骨前頭縫合は、頬骨と前頭骨の境界に位置し、眼窩外側縁付近で確認できます。
蝶頬骨縫合は、頬骨と蝶形骨大翼の間に存在し、眼窩外側壁の深部に位置します。
頬骨側頭縫合は、頬骨の側頭突起と側頭骨の頬骨突起が接する場所です。
そして頬骨上顎縫合は、頬骨と上顎骨との境界を形成します。
つまり頬骨を中心に見るだけでも、
前頭部
頭蓋底
側頭部
上顎部
という4方向への骨性連結が見えてきます。
【頬骨と蝶形骨はどうつながる?】
頭蓋仙骨療法を学んでいる方に特に知ってほしいのが、
頬骨と蝶形骨の関係
です。
蝶形骨は頭蓋底の中央部に位置する非常に複雑な骨です。
蝶形骨には、
体
大翼
小翼
翼状突起
などがあります。
このうち頬骨と関節するのが、
蝶形骨の大翼
です。
頬骨の眼窩面と蝶形骨大翼が接することで、蝶頬骨縫合が形成されます。
つまり顔面外側に触れている頬骨は、その深部では頭蓋底を構成する蝶形骨と直接つながっています。
蝶形骨は側頭骨、前頭骨、頭頂骨、後頭骨、篩骨、鋤骨などとも関節するため、頭蓋全体の解剖を理解するうえで重要な骨です。
その蝶形骨と顔面側をつなぐ骨の一つが頬骨です。
【頬骨は眼窩の一部を形成している】
頬骨について意外と見落とされやすいのが、
眼窩との関係
です。
頬骨は頬の隆起を形成するだけではありません。
眼窩の外側壁と眼窩底の一部
も形成しています。
眼窩は1個の骨だけで作られているわけではなく、
前頭骨
蝶形骨
頬骨
上顎骨
篩骨
涙骨
口蓋骨
という複数の骨によって構成されています。
その中でも頬骨は、眼窩の外側から下方を支える位置にあります。
特に眼窩外側縁では、上方の前頭骨と下方の頬骨が連続します。
眼窩底では、上顎骨を中心として頬骨などが構成に加わります。
したがって頬骨を理解すると、
前頭骨 → 眼窩 → 頬骨 → 上顎骨
という顔面頭蓋のつながりも見えてきます。
【頬骨と上顎骨の関係】
頬骨の前内側には、
上顎骨(maxilla)
があります。
上顎骨は上顎の歯列を支えるだけではなく、
眼窩底
鼻腔外側壁
硬口蓋
上顎洞
などの形成にも関わる大きな顔面骨です。
頬骨と上顎骨は頬骨上顎縫合でつながります。
この縫合は、眼窩下縁から頬部方向へ続いています。
つまり頬骨周囲を見るときには、
頬骨だけではなく、上顎骨・眼窩・鼻腔・上顎洞まで立体的にイメージする
ことが大切です。
また上顎骨には眼窩下孔が存在します。
ここから眼窩下神経・眼窩下動静脈などが出てくるため、頬骨周囲の解剖を理解するうえでは神経・血管との位置関係も欠かせません。
【頬骨と側頭骨が「頬骨弓」を形成する】
頬骨を外側から後方へ追っていくと、
頬骨弓(zygomatic arch)
につながります。
頬骨弓は、
頬骨の側頭突起
+
側頭骨の頬骨突起
によって形成されます。
つまり頬骨弓は「頬骨だけ」でできているわけではありません。
前方が頬骨、後方が側頭骨です。
この構造によって、顔面頭蓋と側頭部が橋のようにつながっています。
そして頬骨弓の下方には、
咬筋
が付着します。
咬筋は頬骨弓などから起こり、下顎骨の外側面へ向かう強力な咀嚼筋です。
一方、頬骨弓の深部には側頭筋が下顎骨筋突起方向へ走行しています。
そのためこのエリアでは、
頬骨
側頭骨
下顎骨
咬筋
側頭筋
側頭筋膜
などが立体的に関係しています。
【頬骨と咬筋の関係】
頭蓋へのアプローチを考える際、骨だけではなく筋肉との関係も重要です。
特に頬骨周囲で存在感が大きいのが、
咬筋(masseter)
です。
咬筋は浅部と深部などに分けられ、主に頬骨弓から起始して下顎枝・下顎角外側面へ付着します。
主な作用は、
下顎骨の挙上
です。
つまり歯を噛み合わせるときに強く働きます。
頬骨弓は側頭骨と頬骨によって作られているため、咬筋を理解することは、頬骨・側頭骨・下顎骨を一つのユニットとして理解することにもつながります。
頭蓋仙骨療法で頬骨周囲を扱う場合にも、表層から骨へいきなり到達するわけではなく、皮膚・皮下組織・表情筋・咀嚼筋・筋膜などが存在していることをイメージしておく必要があります。
【頬骨周囲には表情筋も存在する】
頬骨周囲には咬筋だけではなく、複数の表情筋があります。
代表的なのが、
大頬骨筋
小頬骨筋
眼輪筋
などです。
大頬骨筋は頬骨から口角方向へ走り、口角を外上方へ引き上げます。
小頬骨筋も頬骨付近から起こり、上唇方向へ走行します。
さらに眼窩周囲には眼輪筋があります。
つまり頬骨表面は、
眼窩・表情筋・咀嚼筋が集まるエリア
でもあります。
骨だけを平面的に見るのではなく、その上をどの筋肉や軟部組織が走っているのかまでイメージすると、頬骨周囲の立体解剖が分かりやすくなります。
【頬骨には神経が通る孔もある】
頬骨には小さな孔が存在し、頬骨神経由来の枝が通過します。
頬骨神経は、
三叉神経第2枝である上顎神経(V2)
から分かれる神経です。
頬骨神経は眼窩内を走行したあと、
頬骨顔面神経
頬骨側頭神経
などに分かれ、頬部や側頭部の皮膚感覚に関係します。
さらに頬骨の内側にある上顎骨には眼窩下孔があり、眼窩下神経が顔面へ出てきます。
そのため頬骨周囲は、
骨・縫合・筋だけでなく、感覚神経が走行する領域
として理解しておくことも大切です。
【頭蓋全体から頬骨を見る】
ここまでの解剖をまとめてみると、頬骨は非常に面白い位置にあります。
上方には前頭骨。
内側には上顎骨。
後方には側頭骨。
深部には蝶形骨。
内側上方には眼窩。
下方には咬筋。
つまり頬骨は、
前頭部・頭蓋底・側頭部・上顎・眼窩・咀嚼系
をつなぐ位置にあります。
頭蓋仙骨療法で頬骨に触れる意味を理解するには、頬骨単体を覚えるだけでは十分ではありません。
「この骨の先には何がつながっているのか?」
という視点で頭蓋を立体的に見ることが重要です。
頬骨を入口として周囲を追っていくだけでも、蝶形骨・側頭骨・前頭骨・上顎骨・眼窩・下顎骨まで、頭蓋のさまざまな構造がつながって見えてきます。
【まとめ】
頬骨は単なる「頬の骨」ではありません。
前頭骨・蝶形骨・側頭骨・上顎骨と関節し、眼窩や頬骨弓の形成にも関わる、顔面頭蓋の重要な連結部です。
頭蓋仙骨療法で頬骨を理解するなら、頬骨単体ではなく、周囲の骨・縫合・筋・神経まで立体的に捉えてみてください。
今回の内容は、頬骨と蝶形骨・上顎骨・側頭骨の位置関係や縫合を実際の図で確認した方が圧倒的に理解しやすいテーマです。
詳しい解剖図を使った解説は、ぜひYouTubeでご覧ください。
ALLアプローチ協会
代表 山口拓也





















