おはようございます。
All アプローチ協会 関東支部長 鈴木 正道です。
本日も当協会のメルマガをご覧いただき
ありがとうございます。
今日は
【内臓治療】十二指腸の解剖学的特徴とアプローチ
についてお伝えします。
内臓アプローチをするようになってから
患者様の内科的既往や
手術歴を確認することが増え、
そんな手術できるの!?
と耳を疑うような手術もあります。
実際どう切除し、どう縫合しているかなど
細かい術式まで聞くすべはありませんが、
患者様が大筋は理解されているケースは
多くありますので
詳しく聞くことでヒントになるケースもあります。
その中でも、膵頭十二指腸切除術の説明をみると、こんな手術も可能なのかと驚愕します。
こういった手術の方法を知ることも内臓アプローチをする上での
リスク管理としてとても重要となります。
病院勤務をされているセラピストは
なるべく細かく医師から質問できるものは
質問しておくと後々大切な情報となります。
ちなみに、急性期で働いている方や、
外来で術後の廃用患者様を担当される方は、
この十二指腸・膵頭切除術後の患者様は
内臓アプローチは禁忌なので必ず確認をするようにしてください。
膵液の漏れや胆汁の漏れによるリスクがあるので
自己判断しないようにしましょう。
さて、十二指腸の働きについて簡単に説明します。
【十二指腸の働き】
十二指腸の十二指腸という名称は、指を横にして12本並べたくらいの長さであることからきています。
実際の長さは25〜30cmです。
十二指腸に続くのが空腸、回腸で、この3つを合わせて小腸といいます。
十二指腸には、胆汁や膵液の分泌を調節する働きがあり、
胆汁や膵液はアルカリ性で、胃から送られてきた酸性の粥状液をすばやく中和します。
胆汁は、脂肪を消化、吸収しやすい形にし、脂溶性のビタミンの吸収を助ける働きを持っています。
膵液は、3大栄養素の消化酵素をすべて含んでいます。
こうして内容物が中和されると、すぐに空腸へ送り出されます。
十二指腸でうまく胃酸の中和がうまくいっていないと
空腸・回腸が胃酸によるダメージで炎症を起こしやすくなるので注意が必要です。
消化の過程で、胃では酸性、十二指腸で中性
空腸・回腸以降ではアルカリ性となり、
それぞれのPhで働く消化酵素があるため
酸性・中性・アルカリ性を調整する消化液の分泌は重要となる。
十二指腸では、胆汁と膵液の分泌が十二指腸移行の
消化吸収に大きく影響を与えるため内臓のケアが重要となる。
【十二指腸の解剖的特徴】
〈発生学〉
十二指腸は発生学的に前腸と中腸から発生し、
十二指腸は初めは腹腔内にあるが、右側に捻じれながら後腹壁に癒着した結果、後腹膜器官となる。
血液の供給は十二指腸上部は腹腔動脈下部は上腸間膜動脈から受ける。
十二指腸と後腹壁との間には、背側腸間膜が存在し
胃の捻じれに伴って十二指腸ワナが右側に移動すると、
背側腸間膜は後腹壁の腹膜と癒着する。
十二指腸の背側腸間膜の平滑筋および
線維性結合組織の一部は、十二指腸を固定する十二指腸提筋(トライツ靭帯)となる。
〈構造〉
十二指腸は構造上
後腹膜器官であり、膵臓と一緒でかなり深部で触知される。
構造上、十二指腸は
上部・下降部・水平部に分けらえる。
その中でも重要なのが
下降部にある大十二指腸乳頭、小十二指腸乳頭です。
この乳頭部から、胆管・膵管を通して消化液が分泌される。
それぞれ総胆管括約筋、膵管括約筋胆膵管膨大部括約筋があり、
自律神経・ホルモンによって制御されている。
これら分泌腺の括約筋や十二指腸自体が食べすぎや、腸の循環低下によって
固くなっていると十二指腸を中心として
体幹の可動域制限を起こしたり、後腹膜を介して腰痛を起こすケースもある。
また十二指腸に関しては関連痛が
鳩尾周囲だけでなく右肩にも出現するため、
右肩の制限にも影響してくるので覚えておく必要がある。
過去、右肩の痛みを訴える患者様で
最初に示した十二指腸切除術をされている患者がいて、
鳩尾周囲の可動性や深部内臓の緊張を緩和することで
痛みが改善しる患者様もいらっしゃいました。
【十二指腸アプローチの適応症状】
・腰痛、右肩痛
・食欲不振や脂質の消化困難
・腸の炎症や腹膜の炎症
・十二指腸乳頭の硬結など
・十二指腸にアプローチすることで消化機能や排泄機能に改善が得られるケースや
体幹の制限が改善して腰・肩の症状が改善する
ケースもありますので
問診や触診、疼痛の検査からアプローチの必要性を評価していきましょう。
本日も最後までメルマガをご覧いただき
ありがとうございました。
今日も一日良い時間をお過ごしください。
鈴木 正道