ALLアプローチ協会 関東支部長 鈴木 正道です。
今回は、「下肢筋・血管アプローチの硬結から評価しよう」
についてお伝えさせいただきます!
今回からは具体的に血管の血流に介入する
ポイントをお伝えさせて頂きます。
【まずは下肢の血管に関しておさらい】
腹大動脈
↓
総腸骨動脈→外腸骨動脈
↓
大腿動脈
↓
膝窩動脈
↓
後脛骨動脈 / 前脛骨動脈→足背動脈
↓
内側足底動脈 / 腓骨動脈→外果枝、踵骨枝、貫通枝
下肢の動脈血流をみようと思ったら
とりあえずこの血管を最低限イメージできるように
なれると自然とアプローチ方法は簡単に
自分で考え付くことができます。
とりあえず、各血管ごとの確認ポイントをおさえて、
血管の流れが良い状態かどうか
簡単にチェックできるルーテインを
持っていることは血管にアプローチする上で重要となります。
①腹大動脈のアプローチ
◆ポイント1
Th12の回旋運動と腰椎の屈曲・伸展
◆ポイント2
鳩尾の可動性と鳩尾深部の固さ
鳩尾深部には腹大動脈に加えて
横隔膜周囲の臓器に栄養を送る
腹腔動脈や上腸管膜動脈が分岐する部分です。
この周囲の方さや、可動性の悪さは、腹部大動脈の血流が
低下しやすい環境となります。
◆ポイント3
大腰筋近位部の固さが重要。
大腰筋近位部はTh12の可動性や
腰椎の可動性に影響を与え、動脈の血流を低下させるポイントになります。
本来は脊柱や深部筋の柔軟性が保たれた中で
血流も保たれるので筋硬結もチェックが必要です。
②総腸骨動脈から外腸骨動脈のアプローチ
◆ポイント1
大腰筋遠位部・腸骨筋の固さ。
これらの固さは鼠径部の固さにつながり、股関節が常に屈曲していると血流を低下させます。
◆ポイント2
仙腸関節の固さ。
仙腸関節の前面を走る大腰筋と腸骨動脈。
仙腸関節+恥骨結合の可動性は、腸骨動脈の血流のチェックポイントになります。
◆ポイント3
鼠径部の張り。
鼠径靭帯含め大腿前面や腹腔内深部までつながる
膜組織の緊張は大きな制限因子になるので張りや股関節伸展・屈曲可動域も
チェックしておきましょう。
③大腿動脈のアプローチ
◆ポイント1
内転筋管と大内転筋。
大内転筋自体の固さは直接、大腿動脈の血流に影響を与えます。
◆ポイント2
大腿動脈周囲の脂肪組織の滑走性。
大腿動脈周囲は脂肪体組織に囲まれていて、
固さができてくると圧痛や内側広筋と内転筋の滑走不全にも
つながってきているのでチェックが必要です。
④膝窩動脈のアプローチ
◆ポイント1
膝後面の硬結(膝窩筋・足底筋)。
膝後面の張りがあれば、ほぐしておくだけでも血流が上がります。
膝窩筋の足底筋の間に動脈が通るので
覚えておきましょう。
◆ポイント2
下腿の回旋。
極端な回旋アライメントの不良は、血管の捻じれや走行が悪くなる為
アライメントにも注意しましょう。
◆ポイント3
膝の伸展制限・屈曲拘縮
膝の屈曲・伸展の制限は毛管の滑走や
筋の過緊張による血流阻害いつながるので
触診と一緒に左右差のチェックをしておきましょう。
⑤後脛骨動脈
◆ポイント1
後脛骨筋・脛骨後面の固さ。
脛骨を後面から触診し、
脛骨までの間に緊張の高い組織がある場合には後脛骨筋の後面にある
血管の血流も低下している恐れがあります。
◆ポイント2
長趾屈筋の固さ。
後脛骨筋と長趾屈筋の後面を通る血管なので、促進緊張具合もチェックして
おきましょう。
⑥内側足底動脈
◆ポイント1
内果下端の固さ。
内果下端の組織の固さや圧痛・可動域制限を確認しておきましょう。
◆ポイント2
足底筋膜の固さ。
足底筋膜の痩せ方や張り具合、緊張具合の確認
◆ポイント3
中足骨間の固さ。
中足骨間の可動性や圧痛所見を確認。
⑦腓骨動脈
◆ポイント1
後脛骨筋の固さ。
後脛骨筋の外側を腓骨動脈が通るので、後脛骨動脈と一緒にチェックしましょう。
◆ポイント2
長母趾屈筋の固さ。
長母指屈筋が腓骨後面から起始し、腓骨動脈に
影響を与えるので確認しましょう。
⑧外果・踵骨・貫通枝
◆ポイント1
外果周囲の張り。
血管支配されている周囲の
組織の張りを確認。
◆ポイント2
外果内側の固さ。
外果の内側から貫通枝が
影響してくるのでチェック
◆ポイント3
踵骨の張り。
踵骨の栄養血管なので、脂肪組織の固さも含めてチェックしていきましょう。
⑨前脛骨動脈
◆ポイント1
前脛骨筋の張り
前脛骨筋の深部で
後脛骨筋や骨間膜の前面に
血管があるので筋の張りや
下腿の骨アライメントをチェック
◆ポイント2
腓骨のアライメント
腓骨の内側後方から
前方に出てくる血管なので
腓骨アライメントによっては
血流が阻害されます。
◆ポイント3
ヒラメ筋腓骨付着部の固さ
ヒラメ筋腓骨付着部は
腓骨のアライメントや神経系にも
影響を与えるので張りや圧痛を
チェックしましょう。
⑩足背動脈
◆ポイント1
中足骨間のアライメント
中足骨間の靭帯組織が
血管をとりまいているため
開帳足になると足趾の血流が
低下するので注意。
◆ポイント2
伸筋支帯と脂肪体の滑走性
支帯と脂肪体を通る血管のため
滑走性をチェック
◆ポイント3
距骨の可動性。
ポイント2とともに距骨の前後可動域をチェック。
これらのチェックポイントを
スクリーニングしながら
同時に可動域・滑走性を促通していけば
下肢の動脈血流は改善できます。
最後に指の固さをきれいに取りきることも
忘れずに行いましょう。
本日は以上となります。
鈴木正道