皆さん、こんにちは。
ALLアプローチ協会 代表の山口拓也です。
今回は、「顎関節リリース(外側翼突筋編)」について、セラピスト向けに臨床目線で解説していきます。
【顎関節リリースとは?】
最近セラピストから、「顎関節リリース」という言葉を耳にする機会が増えています。
しかし、「顎関節リリースとは具体的にどのような施術なのか?」と聞かれると、明確に説明できるセラピストは意外と多くありません。
(そもそも顎関節症とは?)
顎関節やその周囲の組織に何らかの機能障害が生じることで、
「口が開けにくい」「顎を動かすと痛い」「口を開け閉めするとカクカク音が鳴る」
といった症状が現れる疾患の総称です。
(顎関節リリースの定義)
顎関節リリースとは、顎関節やその周囲にある筋肉・筋膜・靭帯・関節包などの機能を改善し、顎関節本来の滑らかな動きを取り戻すことを目的とした徒手療法。
オステオパシーなどやっている先生は、顎関節を全身とのつながりの中で評価・施術することが非常に多いと思います。

(顎関節症の原因)
以前は、顎関節症の原因は顎そのものにあると考えられることが一般的でした。
しかし近年では、頭蓋や頚椎、筋膜、神経、さらには内臓との連動性が顎関節の機能に大きく影響すると言われています。
そのため、顎関節リリースは単に顎を緩める施術ではありません。
顎だけを見るのではなく、全身のバランスを評価しながら根本的な原因へアプローチすることが重要です。
【顎関節を構成する組織】

(外側翼突筋アプローチで行うべきポイント)
◆外側翼突筋のイメージ



(外側翼突筋の起始・停止)
(起始)
上頭:蝶形骨大翼の側頭下面および側頭下稜
下頭:蝶形骨の翼状突起外側板外面
(停止)
上頭:下顎頭の関節包、関節円板
下頭:下顎骨関節突起の翼突筋
(外側翼突筋の作用)
① 下頭の作用
・下顎を前方へ突出させる(前方移動)
・口を開ける(開口の補助)
・左右どちらか一方が収縮すると、下顎を反対側へ偏位させる
② 上頭
上頭は関節包や関節円板と機能的に密接な関係があり、下顎を閉じる際に活動します。
作用
- 関節円板を安定させる
- 下顎頭と関節円板の協調運動をサポートする
- 顎関節の滑らかな運動を維持する
そのため、上頭の機能異常は関節円板との協調性が乱れ、クリック音や開口障害などの顎関節症に関与する可能性があります。
外側翼突筋(特に上頭)が関節円板と密接な関係を持ってます。
この筋肉が過緊張すると、関節円板の動きが乱れやすくなり、「口を開けるとカクッと音が鳴る」「口が開きにくい」といった症状に関与する可能性があります。
※外側翼突筋上頭は関節円板・関節包へ線維が移行することが多い
(重要な理由)
顎を開閉する時に下顎頭と関節円板が一緒に前方へ滑ります。
このとき働くのが外側翼突筋です。
つまり、外側翼突筋は関節円板を適切な位置でコントロールする役割を担っています。
(施術テクニックについて)
YouTubeで解説しておりますので、ぜひご覧くださいませ。
① 関節円板・下顎頭の協調性を回復する
顎を軽く把持し、
- 軽い牽引
- 1次呼吸の調整
- 前方・後方・側方への微細な誘導
を行い、顎関節の可動性を回復させます。
② 側頭骨の可動性を改善する
外側翼突筋は蝶形骨から起始し、顎関節は側頭骨に存在します。
そのため、側頭骨のリリースをかけることも重要です。
③ 蝶形骨へのアプローチ
外側翼突筋は蝶形骨の外側翼突板から起始します。
蝶形骨周囲の緊張や動きの制限がある場合には、頭蓋オステオパシーの手技を用いて蝶形骨の可動性を改善し、結果として外側翼突筋の緊張が変化することを期待します。
④ 舌骨・DFLラインを整える
開口筋群や舌骨上筋群、DFLの緊張は顎関節の運動に影響します。
そのため、
- 舌骨
- 顎二腹筋
- 顎舌骨筋
- 咀嚼筋
を評価・調整し、顎関節全体のバランスを整えます。
⑤こめかみ部から刺激入力
外側翼突筋は皮膚上から直接触れることは困難です。
しかし、こめかみの部分の上には、皮膚・皮下組織・側頭筋膜・側頭筋のみしかありません。
だからこそ、この部位から外側翼突筋に対してアプローチが可能です。
【まとめ】
外側翼突筋は、顎関節症の施術において非常に重要な筋肉です。
特に上頭は関節円板や関節包と機能的に密接な関係があり、クリック音や開口障害などの症状に関与する可能性があります。
しかし、深部に位置するため直接触診することは容易ではなく、非常に緩みにくい組織になります。
そのため臨床では、全身のつながりからアプローチをしていただけると幸いです。
実際の触診方法や手の使い方、力加減、施術の流れについては、YouTubeで詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。
皆さんの顎関節症に対する評価・施術の幅を広げ、より良い臨床結果につながれば幸いです。
山口拓也

























