解剖学

肩外転時の上腕外側部痛・腋窩周囲の痛み 解剖学で解決

皆さん こんにちはALLアプローチ協会  ブル と申します。

本日は1~3年目の理学療法士・作業療法士・柔道整復師・整体師など

新人セラピストの先生方に向けて

「肩外転時の上腕外側部・腋窩周囲の痛み 解剖学で解決」

―腋窩神経絞扼×クアドリラテラルスペースー

というテーマでお伝えしたいと思います。

どうぞよろしくお願い致します。

肩外転時に上腕外側部に放散痛だったり、

腋窩後方周囲に痛みを訴えられる患者さんって多いですよね。

実際に今担当している患者さんの主訴がこれでした。

評価していくと、

腋窩神経絞扼の好発部位であるクアドリラテラルスペース

に原因があると考え、実際にアプローチすることで痛みが軽減し

可動域向上につながった事がありました。



そこで今回は

クアドリラテラルスペースの解剖と腋窩神経絞扼の簡単な評価方法

についてお伝えできればと思います。

もう知っているという方も多いとは思いますが、

復習としてご活用頂けると幸いです♪

目次

1 腋窩神経の基礎知識

2 クアドリラテラルスペースとは

3 クアドリラテラルスペースでの絞扼を疑う3つのポイント

4 まとめ

【腋窩神経の基礎知識】

〇支配筋

三角筋 小円筋

〇知覚

腋窩神経の感覚終枝である上腕外側皮神経 上腕近位外側部

〇走行

主にC5 C6頸神経からなり、

腕神経叢上幹から分かれる後枝を経て、

クアドリラテラルスぺースを通過した後に小円筋に運動枝を出します。

その後2つの終枝に分かれ肩外側の皮膚感覚枝(上腕外側皮神経)

と三角筋の運動枝となる。

神経障害を考える際には頸椎疾患との関連を考慮しながら

評価をすすめていく必要があります。

これはどういう事かと言いますと

腋窩神経は主にC5C6由来でしたね。

仮に根本から障害を受けてしまうと、

C5C6から枝分かれしている各末梢神経への伝導が止まるため、

広範囲に筋力低下や感覚障害を伴うことが考えられます。

一方、

より遠位で各末梢神経単体で圧迫・絞扼が生じると

その神経の支配筋や感覚領域のみにトラブルが生じるという事になります。

今回のブログでは腋窩神経単体で絞扼圧迫された場合について、

そしてその好発部位と言われている

「クアドリラテラルスペース」についてみていきますね♪

神経が解剖学的に絞扼されやすい部位でトラブルが生じている場合は

その部位がどのような構造になっているのかを知ると、

評価やアプローチが腑に落ちてきます。

【クアドリラテラルスペースとは】

クアドリラテラルスペース=肩甲四角腔

(Quad rilateral space:QLS)

上方を小円筋

下方を大円筋

内側を上腕三頭筋長頭

外側を上腕骨縁

で形成される四角腔のことです。

腋窩神経はこの狭い部分を通過していて、

腋窩神経障害の後発部位だと言われています。

肩外転運動で上腕外側や、腋窩部に放散痛を訴える患者さんって多い

クアドリラテラルスペース=QLSでの腋窩神経絞扼による可能性も。

QLSは
・上方を小円筋
・下方を大円筋
・内側を上腕三頭筋
・外側を上腕骨縁
で構成

狭い場所を腋窩神経が通過。

腋窩神経障害を呈した症例では、

三角筋・小円筋が萎縮し外転筋力・外旋筋力が低下します。


さらに

上腕外側の感覚鈍麻や感覚脱失が生じますので、

これらの評価は必須になります。


しかし、

私が担当した患者さんもそうだったのですが、

三角筋の筋力低下は若干程度でほとんどみられず、

感覚障害も言われてみればそうかも・・・

というような反応でした。


痛みが主訴で来られる患者さんの場合、

軽度の絞扼障害によるものも多く、

支配筋の筋力低下や感覚障害がほとんどみられないケースがあります。

文献を見てみると

このような場合は3つの評価ポイントをみるといいようです。

私も最終的にはこの方法でQLSでの絞扼が原因だと考えました。

以下に3つの評価ポイントを紹介させて頂きます。



【クアドリラテラルスペースを疑う3つのポイント】

結論から言いますと

① クアドリラテラルスペースの圧痛

② 他動運動での肩外転時の上腕外側部の放散痛と腋窩周囲の痛み

③ 他動運動で肩水平内転時に誘発される痛み

です。

① クアドリラテラルスペースの圧痛

これはそのままです(笑)

小円筋と大円筋の筋間を上腕骨方向にたどっていくと

上腕骨の縁でくぼんだ場所があります。

そこがQLSなので圧迫を加えて圧痛の有無を確認します。

② 他動運動での肩外転時の上腕外側部の放散痛と腋窩周囲の痛み

肩関節を外転していくと小円筋と大円筋は伸張されて緊張します。

小円筋は上方から腋窩神経を圧迫し、

大円筋は前側から圧迫を加えます。

そして

上腕三頭筋は肩挙上に伴って下から神経に圧迫を加えていきます。

上記の筋に短縮や過緊張があると腋窩神経が圧迫されて

上腕外側に放散痛や腋窩周囲の痛みを引き起こします。

セラピストは肩甲骨の動きを止めて行う必要があります。

③ 他動運動時の肩水平内転で誘発される痛み

肩関節90°屈曲位からの水平内転なので、

小円筋・上腕三頭筋(長頭)が伸張位になります。

この時の筋の緊張はQLSを上下から圧迫することになり、

さらに水平内転によって神経は牽引され痛みが引き起こされます。

以上の3つのポイントを確認してもらい

痛みが誘発されましたら、

QLSで絞扼されている可能性が高まります。

解剖学から原因を読み解いていくと面白いですよね♪

【アプロ―チ】

QLSを構成する

小円筋

大円筋

上腕三頭筋(長頭)

をリリースすることでスペースの狭小化を改善させ

神経を圧迫や牽引から解放する事が重要です。

【まとめ】

・QLSは腋窩神経絞扼の好発部位

・筋力低下、感覚障害があまりみられないケースもある

・評価ポイントはQLSの圧痛確認 他動外転運動 他動水平内転運動

 で痛みが誘発されるか確認

・アプローチではQLSを構成する筋のリリースを行う


本日は以上になります。

少しでも臨床のヒントになれば幸いです(^^)

本日も最後までブログを読んでいただき、

本当にありがとうございましたm(__)m

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