おはようございます。
ALLアプローチ協会 関東支部長 鈴木 正道です。
今回は、【変形性膝関節症】上肢にアプローチして膝関節屈曲の痛みが改善した症例
についてお伝えいたします。
そろそろ膝関節の痛みを訴える患者に対して膝関節中心のアプローチでは対応しきれないのは、どの本にも記載されてきている内容ではないでしょうか。
それぞれの本の特徴で、運動連鎖を説明することで
足部から膝関節を捉えている本や
体幹のアライメントから膝関節を捉えている本、
筋・筋膜のつながりで膝関節を説明する本
経絡の観点で膝関節を説明する本
など様々な見方ができると思います。
単純に、膝自体の構造や特徴も知らなければいけないのは当然です。
私が最近膝の痛みを訴える患者様が来れば、たいていは一回の介入で痛みが改善した
楽になったと言ってもらえるようになってきたのは
今まで勉強してきた機能解剖学・運動学に筋膜の知識を深めたことで飛躍的に治療効果が向上しました。
今まで運動連鎖を一生懸命覚えて、膝の勉強会といったものにいくつも参加して
理屈はわかっていたのですが、実際組織学的にどうつながっているのか
全身のつながりで説明できるようになったのが筋膜を勉強して大きく変わったことでした。
今まで関節手技もだいぶ練習はしてきましたが、
ある先輩に冷ややかに「関節や関節包の動きを鈍らせるのは筋・筋膜なんじゃないの?」
と突っ込まれてそうかもしれないと思い、
筋膜の勉強をしてみたらより効果が上がりました。
決して関節にアプローチできなくてもいいわけでは
ありませんが、筋膜にアプローチすることで確実に脳が学習してしまった
「体の形」(※私はそう言っています)は変化が得られやすくなりました。
もちろん運動連鎖や姿勢・アライメント、関節包や靭帯・脂肪体やリンパにも
アプローチしますが、圧倒的にその場で患者様が、痛みに変化を感じられるのは
筋膜をキチンとアプローチできるようになってからでした。
今回上肢にアプローチをして膝の痛みが改善し、
歩行・自転車が楽にできるようになったケースでは、筋・筋膜のつながりが重要でした。
最近患者様の苦労話を聞くことで治療のヒントをもらえることが多いのですが、
その患者様は、80代になるのですが
お孫さんを自転車に乗せて保育園に送迎をして昼間は家事をしながら自社の経理の仕事もこなす神様のような女性でした。
膝の痛みを我慢しながらそんな生活をしていて膝の痛みが限界に達してしまったようです。
昔の私であれば、下肢への過負荷を疑いましたが、
現在子育て真っ最中の私は、抱っこのし過ぎによる上肢の影響を疑いました。
上肢から膝への筋連結・筋膜のつながりをしっていたからそこを疑えたと思います。
そのつながりとは
・ディープフロントライン
・ディープアームライン
・スパイラルライン
のつながりでした。
簡単に3つのラインを説明すると
【ディープフロントライン】(おおまかに)
後脛骨筋→膝窩筋(膝関節包)→大小内転筋→
骨盤隔膜筋膜、肛門挙筋、内閉鎖筋筋膜→
大腰筋→横隔膜→壁側胸膜、縦隔、心膜→
斜角筋、舌骨下筋
【ディープアームライン】
小胸筋→鎖骨胸筋筋膜→上腕二頭筋→
橈骨骨膜→母指球筋
【スパイラルライン】(※右から始まるとして説明)
右頭板状筋→左菱形筋→左前鋸筋→左外腹斜筋→
右内腹斜筋→右筋膜張筋、腸脛靭帯→
前脛骨筋→腓骨筋→大腿二頭筋→仙結節靭帯→
脊柱起立筋
この3つのラインで、ポイントがあります。
〈ポイント1〉
ディープフロントランの上中部路線の中で、
心膜と脈管系をつつむ神経血管束は
胸郭上端を出た時にディープアームラインと合流するため、
ディープフロントラインとディープアームラインは
つながっていて、影響し合う関係性にあります。
〈ポイント2〉
ディープフロントラインとスパイラルラインのつながりは
ディープフロントラインに属する後脛骨筋とスパイラルラインに属する
前脛骨筋・長腓骨筋が足底部でクロスしながら連結関係にある部分です。
〈ポイントまとめ〉
ポイント1とポイント2をまとめながら、今回の上肢で膝の痛みが改善した症例を説明すると
繰り返しの孫の抱っこによる上腕二頭筋・小胸筋の筋硬結がディープフロントラインを介して
膝窩筋や後脛骨筋へ影響を与えていて結果的にファンクショナルラインに属する前脛骨筋や
腓骨筋・筋膜張る筋へも負荷をかけていた状態。
実際ファンクショナルラインに属する筋の過緊張をリリースすることでも痛みは改善できたが戻りが多かった。
問診で肩の痛み若干訴えるため肩の評価をしていくと小胸筋のリリースで痛みが改善したため、
小胸筋上腕二頭筋をリリースし、斜角筋の調整も同時に行っていくと膝の運動時痛が改善した。
ファンクショナルラインだけのアプローチでは、戻りに悩まされるケースだったが、
ディープアームラインとディープフロントラインの関係性までアプローチしていくことで改善が
得られるケース多いかと思いますので、参考にしていただければ幸いです。
本日は以上になります。
ALLアプローチ協会 関東支部長 鈴木 正道