経絡アプローチ

【症例報告】経絡治療を片麻痺治療に活かす!

皆さんこんにちは♪

ALLアプローチ協会 代表 山口拓也です。

本日も当協会の公式ブログをお読みいただき誠にありがとうございます。

本日は、

【症例報告】経絡治療を片麻痺治療に活かす!

というテーマでお話をしていきます。

理学療法士・作業療法士・柔道整復師の皆さんに向くて、

「症例報告」という形で臨床に役立つ介入のヒントをお伝えしていきます。

それではまず、症例の紹介です。

【症例紹介】

60代女性。

心原性脳塞栓症の診断で、

右片麻痺を呈して患者様です。

評価としては、

麻痺側上肢屈筋群の過緊張がみられている状態でした。

そのため、

麻痺側上肢挙上時に、

肘は屈曲位、肩甲骨は挙上位となり、

上腕二頭筋や僧帽筋上部繊維優位の動作となり、

肩挙上の可動域制限や運動時痛がみられていました。

また、

手指に関しては、

伸展の可動域はあるものの、

筋出力の低下がみられ、手指伸展の自動運動での可動性は低い状態でした。

以上の評価結果から抽出された問題点に対して、

「心経」、「心包経」

という経絡に対してアプローチをしました。

具体的な方法としては、

「井穴」を指で押さえながら気の流れをイメージし、

心臓から指(井穴)に向かってエネルギーを流していくような介入を行いました。

※心経の井穴⇒第5指外側(橈側)の爪の際

※心包経の井穴⇒第3指外側(橈側)の爪の際

その結果、

挙上時麻痺側上肢の屈筋群の代償が軽減し、

可動域の向上、疼痛の軽減がみられました。

また、

手指伸展の出力も向上し、

自動運動による可動域拡大へとつながりました。

なぜ以上のようなが結果を出すことができたのか考察をさせていただきます。

ポイントとしては、

この症例は、既往に、慢性心不全、慢性心房細動といった心疾患があり、

今回の脳梗塞も心原性ということを考えると、

心臓由来の問題が身体に大きな影響を及ぼしていたのではないかと考えました。

そして、

心経や心包経は、

筋膜でいうと、DFAL(ディープ・フロント・アーム・ライン)とのつながりがあります。

DFALは、上腕二頭筋や長掌筋、内側上顆から起始する筋など、いわゆる屈筋群に関与する筋膜ラインとなります。

つまり、心疾患を抱えているということは、心臓は疲労しやすい状態にあり、

心臓自体の重さ・硬さ、それを包んでいる心膜にも硬さが出来ていた可能性が考えられます。

そのため、心臓や心膜を正常な位置や状態を保とうとして、DFALの筋・筋膜を緊張させていたことが考えられます。

そこで、

心経・心包経に対してアプローチをしたことで、

① 心臓、心膜の疲労回復、柔軟性向上、重量感軽減

② DFALの筋、筋膜の調整

この2つの治療効果により、屈筋群の緊張緩和を図ることができ、相反抑制により収縮がしづらくなっていた伸筋群の出力が向上したと思われます。

結果として、肩挙上時の肩甲上腕関節のインピンジメントは改善され、可動域向上・疼痛軽減へとつながったと思われます。

また、手指伸筋群の出力が向上し、手指の自動運動での可動性向上へとつながったと考えられます。

特に、最初は筋・筋膜に対しての介入をしているのですが、ほとんど変化はなかったので、⓵の治療効果による変化が大きかった推測されます。

つまり、心臓や心膜を正常に保つために屈筋群を過緊張にさせる必要性がなくなったことで、屈筋群の緊張緩和へとつながったと思われます。

<まとめ>

今回の症例を通して皆様にお伝えしたいことは、

「片麻痺」の患者様に対して、

基本的には、運動学・神経生理学的な観点からのアプローチによって身体機能やパフォーマンスの向上を図れるケースの方が主流かとは思いますが、

「経絡」に対するアプローチによって、

片麻痺の患者様の身体機能やパフォーマンスの向上につながるケースや、経絡へのアプローチの方が大きな変化を出せるようなケースも多くあります。

なので、経絡治療というものを学んでいただき臨床に取り入れていただくと、治療の幅も広がり、喜んでくれる患者様も増えるのではないかと思います。

本日は以上になります。

最後まで当協会の公式ブログをお読みいただき誠にありがとうございました。

ALLアプローチ協会 代表 山口拓也

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