筋膜リリース

筋膜が痛みを引き起こす理由とリリース(解放)の必要性

いつも当協会の記事を見て頂き誠に有難うございます。

ALLアプローチ協会 代表 山口拓也です。

本日もセラピストの皆様に向けて

「筋膜が痛みを引き起こす理由とリリースポイント」

について解説させて頂きます。

筋膜リリースって疼痛に対して必須のテクニックだと思います。

ぜひこの記事で筋膜の知識を多く吸収して頂けると幸いです。

【筋膜の構造について】

筋膜と言っても複数の筋膜があります。

内側から筋内膜→筋周膜→筋外膜→深筋膜→浅筋膜→皮膚という順番で構成されています。

(筋膜の解説)

筋内膜:非常に細い筋繊維を一本一本を包み込む

筋周膜:筋内膜により包まれた筋繊維を束にして包み込む

筋外膜:筋周膜により束ねられた筋繊維群をさらに束ねるのが筋外膜

深筋膜:筋外膜により包まれた個々の筋肉を深筋膜が束ね筋群になります

浅筋膜:そして深筋膜を最外層の浅筋膜が覆い、その周囲を更に皮膚組織が覆います。

この様な構造により、あらゆる方向に動かせたり、筋肉間の摩擦抵抗を軽減し運動を滑らかにすることができます。

そのほか、組織の保護・形状維持・すべてを包み何層にもすることで異常を知らせるセンサー的な働き・深部から浅部・筋膜から筋膜への運動や力の伝達など様々な役割があります。

筋膜に異常が発生すると、この様な機能に障害を与えることになるという事です。

【筋膜が痛みを引き起こしやすい理由】

筋膜は筋肉だけでは無く靭帯・骨・関節・内臓などすべての器官も包み込み、足の先から頭まで、全てを連結させ、支持、保護している膜組織です。

「第二の骨格」と言われ、膜の張力により姿勢を維持する支えとなっています。

また筋膜には痛覚神経(痛みを伝える神経)が多くあり、その数は筋肉の約10倍もあり痛みへの閾値も低く痛みを感じやすい原因となっております。

そのため、筋膜に異常が発生すると痛みを発症させてしまうからこそ筋膜リリースが必要なんです。

【筋膜の問題点について】

通常は、伸縮性と粘弾性をもった筋膜ですが、ケガ・炎症・過度の使用・不良姿勢・不動などにより筋膜は伸縮性や粘弾性の低下や捻じれ・シワ・歪み・癒着など、性質や構造に変化が生じます。

変化した筋膜は痛みを誘発し関節の運動機能にも影響をあたえます。


筋膜の変化が修復されずにいると変化した筋膜は、他の筋膜を引っ張りこみ癒着や歪みを広げていきます。

そして伸縮性の低下した筋膜に包まれている筋肉は束縛され収縮運動の低下を招き硬くなり、それに伴いリンパ液の還流や血液循環の障害を引き起こします。


筋膜の変化は時間経過と伴に水分脱失や無秩序な線維化・肥厚が進み伸縮性や弾粘性をさらに失い固定化します。

痛みの広がりや機能低下が進み慢性疼痛という道筋をたどる結果となってしまいす。


これは筋肉だけの事ではなく、関節・靭帯など膜組織に覆われたすべての場所に起り得ます。


固定化された筋膜はマッサージや温熱治療を施しても一時的緩和は望めますが、繊維化、肥厚、癒着などは改善せれないため、すぐに症状は戻り繰り返しの施術を余儀なくされます。

筋膜のアプローチは揉んだり温めても効果がでないばかりか症状を悪化させる場合もあります。

筋膜の治療はリリース(解放する)という考えが必要になります。

それには深度・方向性・時間という筋膜に特化した手技が必要不可欠となります。

【筋膜は形状記憶】

筋膜には、形状記憶があります。

施術で戻りがあるのは、筋膜に形態記憶性があるからもとの状態に戻るのです。

摘み上げた時エラスチンは伸ばされ、コラーゲンのネットも伸ばされた方向に形状を変化させます。

そして指を放すとエラスチンは伸ばされていたゴムのように元の長さに戻ると同時にコラーゲンは元の形を復元するのです。

押したり引っぱったりストレッチしても元の形状に戻るのは筋膜の形態記憶性があるからなのです。

そして何気ない仕草や癖がやがて習慣となり形状を新たに書き換え記憶してしまいます。

背骨の歪みやストレートネック等も悪い習慣により書き換えられた筋膜の形状記憶によるものなのです。

筋膜の形状を書き換え記憶させるのは非常に緩徐で時間が掛かります。

生活習慣だけで変えようとすると半年から二年以上もの日数が掛かります。

筋膜ストレッチや治療によるリリースで時間は短縮できますが、それには正しいやり方が必要となります。

【筋膜連鎖について】

ハンカチや布生地の端を指で固定して、反対側の手で生地を引っ張るとシワができます。

この様なことが身体でも起きているのです。

筋膜に癒着、歪み、肥厚などが起きると、その場所に痛みを発症します。

その場所の筋膜は伸長性が無いため包まれている筋肉や関節も可動性が低下します。

そのためにその場所はピンで止められた状態になり、他の筋肉が活動すると布地のように他の筋膜が引き込まれ癒着や歪みが新たに形成され痛みが広がるのです。

この様な痛みの広がり方を筋膜連鎖と言います。

筋膜には、筋膜経線という幾つかのルートがあります。

針灸でいう経絡の走行に似たものですが、そのルート状に痛みが広がることが多くにみられるのです。

その痛みの広がり方が神経走行と近いため神経障害と間違えられることが、しばしばあるのです。

この様な現象は身体の何処の部分にも起きます。

ヘルニア等で神経が圧迫しているのが原因と診断され、手術をされたにもかかわらず、

「手術をしても良くならなかった」という様な話よく耳にします。

手術をしても痛みが改善されないのは、原因が神経にあるのではなく筋膜の異常による筋膜連鎖の症状だからです。

【癒着について】


筋膜の滑走は、ヒアルロン酸が潤滑油の役割を果たしています。

このヒアルロン酸が疲労やオーバーユース、不良姿勢、運動不足などが原因で脱水状態になると、ドロドロと粘りのある状態になり筋膜の滑走性が低下します。

このようにヒアルロン酸の変質が【癒着】をもたらすのです。

痛みやコリを感知するポリモーダル受容器は筋膜に多く存在しているため筋膜の癒着がコリや痛みを引き起こすことが最新の研究で明らかになっています。

また、滑走性が低下することでドロドロ状態になったヒアルロン酸がこり固まってくると筋膜を構成するコラーゲンやエラスチンの密度が高くなり繊維がグチャグチャと渋滞したような状態(結合組織の塊)になります。

癒着により滑走障害を引き起こし可動性低下、筋出力制限や分離収縮不全(互いの筋肉の作用を邪魔し合う。上腕二頭筋と三頭筋など)、血行障害などを引き起こします。

他にも老廃物が流れなくなってしまい筋肉だけではなく、つながっている血管や神経、リンパ管も影響を受けてしまいます。

筋膜自身はコラーゲンでできており、85%が水分です。

水分の枯渇により癒着しやすい状態で、同じ姿勢での長時間作業や、不動などのストレスがかかることにより癒着が発生してしまいます。

まずは、筋膜リリースや内臓リリースをする際は、水分摂取をしっかりするように指導しておきましょう。

【筋膜が重要な理由】

筋膜について知っておいた方が良い重要な事実は、 筋肉の生み出す力のおよそ4割が筋膜などの筋肉周囲の組織に伝達される、ということです。 

しかし、実際の日常生活の場面では筋肉の生み出す力の4割は筋膜など筋肉周囲に伝達されて作用するので、筋肉を強くするだけでなく、筋膜も良い状態でないといけないということです。 

まず、筋膜自体も(線維性の結合組織の中に平滑筋細胞が含まれているので、)わずかな力を発揮する、つまり自らわずかな張力を生み出すことが可能です。 

【筋膜アプローチのポイント】

皆さんがよくアナトミートレインを意識してアプローチすると思いますが
全身の膜としてリリースするのは、深筋膜を意識してリリース(解放)をかけます。

深筋膜に筋外膜の一部が入り込んで癒着してしまうケースが多いためです。

さらに、この筋膜は全身につながっており内臓の膜ともつながっています。

筋膜の癒着を剥がすイメージで深さや方向性を意識しつつ筋膜リリースをかけていきましょう。

本日の記事は以上となります。

最後までご覧いただき誠に有難うございました。

SNSでシェアして頂けると幸いです。

ALLアプローチ協会 代表 山口拓也

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