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ALLアプローチ協会 代表 山口です。
本日は、「胸腰筋膜と腰痛・肩こり・呼吸の関係」というテーマでお伝えさせて頂きます。
皆さんは、胸腰筋膜って知っていますか?
実は、胸腰筋膜が腰痛や肩こりに深い関連があった事を知っていますか?
今回は、胸腰筋膜について解説していこうと思います。
【胸腰筋膜とは?】
人間の体内には筋膜と呼ばれる膜があり、筋肉まわり・内臓まわりなど体全体を覆っています。
筋肉まわりを一続きに包む筋膜の中で、胸部や腰部にある筋膜を「胸腰筋膜」と呼んでいます。
背中や腰にも胸腰筋膜という膜が張っており、背中が丸まってしまわないように支えてくれています。
体幹部は胸部が肋骨に支持されているのに比べ、腰から腹部にかけては肋骨のような骨性基盤がありません。
主に筋肉が腰部と腹部を支えているのですが、それを強固にしているのが胸腰筋膜です。
この胸腰筋膜は、殿部の筋である大殿筋や腕と背中を繋いでいる広背筋といった大きな筋肉と連結しています。
さらに、その奥では、腹部をコルセットのように巻いている内腹斜筋や腹横筋という筋肉と、脊柱起立筋が筋膜によって繋がっています。
広背筋、下後鋸筋、脊柱起立筋、外腹斜筋、腹横筋、内腹斜筋などは、胸腰筋膜を介して骨や靭帯に付着しています。
【胸腰筋膜の解剖学】
胸腰筋膜は、頸部・胸部・腰部に分かれ、腰部はさらに「一番深いところの前葉」・「腹筋群を包む中葉」・「大臀筋と広背筋を繋ぐ後葉」の三層で構成されています。
・前葉|腰方形筋を包み、大腰筋に連結し、腰椎横突起の前面に付着している。
・中葉|外腹斜筋・腹横筋・内腹斜筋を腰椎横突起に付着させている。腰椎横突起の先端と横突間靭帯にも付着 し、下部は腸骨稜に上部は第 12 肋骨の下縁と腰肋靭 帯に付着している
・後葉|広背筋と大殿筋を連結している。後葉は腰椎と仙椎の棘突起および棘上靭帯にも付着して いる。
中葉と後葉の間には、多裂筋や脊柱起立筋などのいわゆる背筋があります。
三層それぞれ、包む筋肉を骨・靭帯に繋ぐ役割を果たしています。
筋膜には感覚の受容体があり、筋緊張や交感神経、血管などに関わっています。
このように胸腰筋膜は体幹の前後・側面の筋群と連結しており、表層の広背筋-大殿筋の連結を有することから、体幹機能に重要な役割を果たしていると考えられます。
地面→四肢からの反力を胸腰筋膜を介して脊柱に伝達され、さらに上下肢にその力が伝達されることで、上肢・下肢から発生する張力が身体を安定することに貢献していると考えられます。
逆に言えば、一部の機能不全は体幹全体に影響を及ぼし、上下・対側の四肢に影響を及ぼす可能性も考えられます。
【胸腰筋膜のつながりから考える】
胸腰筋膜は上部で頸部や上肢の筋膜と繋がり、下部では下肢の筋膜と繋がっています。
広背筋〜反対側の大臀筋に膜を通して繋がっていると考えるとイメージしやすいかと思います。
背中とお尻の筋肉で対角線上に引っ張り合うことでバランスを整えています。
つまり右の背中と左のお尻、左の背中た右のお尻で引っ張り合っています。
そのため、右の腰痛が左の大臀筋で痛みがとれるなどが現象として起こります。
とりわけ体幹のインナーマッスルである腹横筋と多裂筋が収縮することで胸腰筋膜が緊張して得られる、腰椎・骨盤部分の「コルセット作用」が注目されています。
このコルセット作用が破綻すると、アウターマッスルが代わりに働いて腰や骨盤を安定させようとし、胸腰筋膜を過緊張させたり、筋肉や関節への負担を増大させたりします。
腰痛ではありませんが、コルセット作用の破綻から、大腿二頭筋(太ももの後ろの筋肉)がオーバーユースとなって痛みが出てしまうこともあります。
(呼吸とインナーマッスルの関係について)
腹横筋は、身体の前側に腹巻のようについていて、一番身体の深部にあります。
他の体幹の深層筋(横隔膜・多裂筋・骨盤底筋)と一緒に動くことが本来の身体の仕組みです。
ですが、
横隔膜の動きが小さい呼吸が浅い人は、体幹の深層筋(腹横筋・横隔膜・多裂筋・骨盤底筋)はもちろん胸腰筋膜も不活性ということになります。
呼吸の問題がある人にもアプローチすべき組織という事です。
【肩の痛み】
なぜ、胸腰筋膜が肩の痛みと関連があるのか?
イラストを見て頂くとお分かりになると思いますが、広背筋は背中の筋肉なのですが上腕骨までくっついてきています。
大殿筋が硬い→広背筋が引っ張られる→腕が背中側に引っ張られている中で無理に抵抗して腕を上げる。
このようなメカニズムで肩の痛みが発症するケースがございます。
そのような方には最初に大殿筋をしっかりほぐしてから腕へアプローチするといった施術を行うべきです。
【胸腰筋膜と腰痛の関連】
まず、胸腰筋膜には、感覚神経線維と交感神経節後線維を含んだ 脊髄神経後枝が胸腰筋膜を貫いて腰背部の皮膚に分布 していることは重要です。
実際の研究では、慢性的な腰背部痛を有する患者を超音波で検査し、胸腰筋膜の厚みが有意に増していることを発見した。
この研究に続いて同じく。同様の患者では胸腰筋膜の筋膜の動きが が最大 20% 低下していることを報告しています。
(胸腰筋膜のコンパートメント)
胸腰筋膜を介しコアマッスルの多裂筋、側腹部の腹横筋、外腹斜筋、内腹斜筋など腰部から腹部の筋肉は1つに包まれ、協調して収縮し腹腔内圧を高めています。
この事により体幹部は安定性を得ています。これをコア・スタビリティと言います。
胸腰筋膜が機能不全を起こすと、筋肉の内圧が高まり循環障害が起きます。
本日の記事は以上となります。
最後までお読み頂き有難うございました。
ALLアプローチ協会 代表 山口拓也