おはようございます。
いつも当協会の公式ブログをお読みいただき、誠にありがとうございます。
ALLアプローチ協会 関東支部長 鈴木 正道です。
今回は、
【肩こり治療】内臓と感情が肩こりへ与える影響
についてお伝えいたします。
ここまでお伝えした内容は、肩が凝っているという症状に対して、
肩を揉むのではなく、その肩の筋に血流障害を起こしている
原因となる姿勢を評価してその姿勢の原因にアプローチする方法。
つまり、その姿勢で短縮している筋を伸長する方法や使えていない筋を
促通する方法から単一の筋の伸び縮みだけでなく、
筋のつながりによる問題点や筋の交差している部分の滑走性の問題、
経絡上の問題にアプローチすることで肩こりに対応する方法をお伝えさせていただきました。
今回お伝えする内容では、今まで姿勢や筋という枠で
人の体を見てきましたが、中心部にあるのは筋だけではなく
内臓が深部の筋や椎体・血管と連結しており、その内臓が肩こりに与える影響をお伝えします。
そもそも肩こりには筋の影響だけでなく内臓の関連痛の影響がでます。
右の肩には肝臓の関連痛が出現しやすく、
左の肩には心臓の関連痛が出現します。
左右に影響を与えるのが肺と呼吸筋である横隔膜の影響が影響しやすくなります。
一応肺は関連痛として本に載っていますが、
肺の機能不全は、運動学的にも肩こりに影響を与えやすくなります。
頚部・肩甲帯の筋のほぼすべてが呼吸補助筋として働くため
呼吸機能の低下や呼吸器疾患、呼吸筋の機能低下によって呼吸補助筋は緊張が高くなり血流が低下します。
また、口腔・顎関節機能も呼吸や肩こりへ影響します。
呼吸状態の悪い総入れ歯の患者様の入れ歯を外すと一気に呼吸補助筋の働きが増すことがあります。
顎関節の咬筋や内側翼突筋・側頭筋などは、ディープフロントラインの一部と働き、深部で胸横筋や横隔膜、大腰筋との連結があります。
姿勢・呼吸との関連性が強いグループの筋膜ラインになるので、入れ歯や歯のかみ合わせからくる肩こりや呼吸機能の低下も評価する必要があります。
神経支配からいっても横隔膜がC3、4、5支配、およそ肩甲帯周囲の筋、つまり肩こり筋と神経支配が重なってくるので影響が出現しやすくなります。
もう一つ忘れてはいけないのが第10脳神経である副神経の影響です。
副神経には、脊髄根と延髄根という二つの道があり、延髄根のほうが迷走神経と混ざって
内臓につながり、脊髄根が僧帽筋上部繊維や胸鎖乳突筋を支配しているため副神経や内臓を介した
肩凝りへの影響が考えられます。
肩関節周囲の神経だけでも影響を考えたらきりがないですね。
肺以外の内臓の影響です。
心臓は心膜に包まれ、その心膜が胸骨や横隔膜に付着し、
さらにディープフロントラインともつながり、頭蓋骨の蝶形骨に内側翼突筋を介して付着します。
・ディープフロントライン
・横隔膜
・内側翼突筋
・蝶形骨
という部分が先ほどまでに説明してきた肩こりへの影響が予測されます。
この心臓、東洋医学的には、経絡と感情のつながりがあります。
心経:自己否定感
心包経:自分を過小評価するような感情
三焦経:疲れ、自己犠牲
といった感情や行動から心への影響が出現しやすくなります。
また肩こりへの影響が出やすい
肝臓では、横隔膜との付着が強く、
肝臓の肥大や循環低下、内臓疲労によっても
横隔膜の動きへの制限となることが
とても多く、肩こりへの影響が出やすい内臓となっています。
この肝臓へ影響する
経絡・感情は
・肝経:怒り
・胆経:恨み
・腎経:恐れ
・膀胱経:未来への不安や壁を超えることへの不安
となっています。
肝・胆は陰陽の関係性があり、腎・膀胱は肝・胆に対して
相性関係にあるため同時に調整していくことで肩こりに対して効果が期待できます。
先ほど、説明させていいただいた
肺に関しては
肺経:悲しみ
大腸経:水に流せない怒り
こういった経絡を徒手的にアプローチすることも良いですが、
最近は感情に対するアプローチで
自分の中で出した最善のアプローチ方法があります。
それは、相手の話を120%本気で聞くことです。
「何当たり前のこと言ってんの?」
と思われそうですが、この能力の深さが相手とつながる
大切なポイントになります。
私はリハビリに来ているからとにかく体を触ると言ういことを手放しました。
患者様が抱えている悩み・不安を
しっかり話も聴かないでアプローチしても効果は半減します。
まず自分が相手に対して開いて、本気で相手を受け入れて
対話することで相手の感情を引き出すことも
解放することもできると感じました。
セラピスト自身の在り方が大きく影響しますが、
最近あることを経験して学んでからはこの方法が妙に腑に落ちます。
体に触らないことは良いことでは
ないことかもしれませんが、こういった感情や生き方と向き合うことは患者様にとって大きな影響があります。
結果肩こりだけでなく、様々な痛みや不定症状を改善するきっかけにもなりますので、
もし感情やメンタルにアプローチする場合、テクニックも大切ですが、
人と向き合って目を見て話を受け入れる覚悟も大切な要素となります。
肩こりには最終的には内臓・感情の影響、栄養の影響が大きく関与してくるので
表面的なアプローチで終わらずに、多角的な面で肩こりを捉えられるようになっていただければ幸いです。
ALLアプローチ協会 関東支部長 鈴木 正道