こんにちは!
ALLアプローチ協会の山口です。
今回は、頭蓋仙骨療法における「篩骨リリース」について、解剖学を中心に詳しく解説していきます。
皆さんは、篩骨がどこに存在しているのか、正確に説明できますか?
篩骨は頭蓋骨の中でも複雑な形状を持つ骨です。
前頭骨や蝶形骨と接し、鼻腔・眼窩・頭蓋底の形成に関係しています。
さらに、篩骨には嗅神経が通過する篩板や、硬膜が付着する鶏冠など、重要な構造が存在します。
つまり篩骨は、単に鼻の奥に存在する骨ではありません。
頭蓋底の構造、嗅覚、鼻腔の機能、眼窩の形成などに関係する重要な骨なのです。
頭蓋仙骨療法で篩骨へアプローチする際にも、こうした立体的な解剖学を理解しておくことが大切です。
今回は、篩骨の基本構造から、周囲の骨・神経・硬膜との関係、具体的なアプローチの考え方まで解説します。
【篩骨とは?頭蓋底・鼻腔・眼窩をつなぐ骨】
篩骨は、頭蓋の前方中央部に位置する不規則な形状の骨です。
左右の眼窩の間、鼻腔の上方に存在し、前頭蓋窩の一部を構成しています。
篩骨の特徴は、1つの骨が複数の領域に関係していることです。
具体的には、
・前頭蓋窩の床
・鼻腔の天井と鼻中隔の一部
・左右の眼窩内側壁
を形成しています。
つまり、篩骨は頭蓋腔・鼻腔・眼窩の境界に位置する骨なのです。
また、篩骨の内部には篩骨洞と呼ばれる多数の小さな空洞が存在します。
この空洞は鼻腔と連絡し、副鼻腔の一部として機能しています。
篩骨は外側から直接触れにくい骨ですが、周囲の骨との位置関係を理解すると、頭蓋全体の構造が見えてきます。
【篩骨の4つの構造|篩板・鶏冠・垂直板・篩骨迷路】
篩骨を理解するためには、4つの基本構造を知ることが重要です。
・篩板
・鶏冠
・垂直板
・篩骨迷路
篩板は、篩骨の上部に存在する薄い水平性の骨板です。
多数の小孔があり、嗅神経の線維が通過しています。
鶏冠は、篩板の中央から上方へ突出する骨性構造です。
ここには、大脳鎌と呼ばれる硬膜の折り返しが付着しています。
垂直板は、篩板から下方へ伸びる薄い骨板です。
鼻中隔の上部を構成しています。
篩骨迷路は、篩骨の左右に存在する構造で、内部に篩骨洞を含んでいます。
また、眼窩内側壁を形成する紙様板や、鼻腔内へ突出する上鼻甲介・中鼻甲介も篩骨の一部です。
この4つを立体的に理解することで、篩骨がどれほど多くの組織と関係しているのかが分かります。
【篩板と嗅神経の関係】
篩骨の解剖学で特に重要なのが、篩板と嗅神経の関係です。
嗅神経は、第Ⅰ脳神経に分類されます。
鼻腔上部の嗅上皮には、においを感知する嗅細胞が存在しています。
嗅細胞から伸びる神経線維は、篩板にある多数の小孔を通過し、頭蓋内の嗅球へ向かいます。
嗅球は前頭葉下面の前方に位置し、嗅覚情報を処理する神経系の一部です。
嗅球からは嗅索が後方へ続き、嗅覚情報が脳内へ伝えられます。
つまり篩板は、鼻腔と頭蓋腔の境界であると同時に、嗅覚情報が通過する重要な場所です。
篩板は非常に薄い骨であり、強い外力によって損傷することがあります。
そのため、篩骨へのアプローチを考える際には、鼻腔上部の深部構造を無理に動かそうとしないことが大切です。
【鶏冠と大脳鎌|篩骨と硬膜の関係】
頭蓋仙骨療法の視点で特に重要なのが、鶏冠と硬膜の関係です。
鶏冠は、篩板の中央から上方へ突出する骨性構造です。
その形状が鶏のとさかに似ていることから、鶏冠と呼ばれています。
この鶏冠には、大脳鎌の前方部分が付着しています。
大脳鎌とは、左右の大脳半球の間に入り込む硬膜の折り返しです。
頭蓋硬膜には骨膜層と髄膜層があり、髄膜層が折り返すことで大脳鎌や小脳テントなどを形成しています。
大脳鎌は前方で鶏冠や前頭骨周囲に付着し、後方では小脳テントと連続しています。
また、大脳鎌の上縁には上矢状静脈洞、下縁には下矢状静脈洞が存在しています。
つまり、篩骨の鶏冠は、頭蓋内の硬膜構造を理解するうえで重要な付着部なのです。
篩骨と硬膜の関係を考える際には、この鶏冠と大脳鎌のつながりを押さえておきましょう。
【篩骨迷路・紙様板と眼窩の関係】
篩骨の左右には、篩骨迷路と呼ばれる構造があります。
篩骨迷路の内部には、篩骨洞という多数の小さな含気腔が存在しています。
そして篩骨迷路の外側には、紙様板と呼ばれる非常に薄い骨板があります。
紙様板は、眼窩内側壁の大部分を形成する重要な構造です。
つまり、眼窩と篩骨洞は、薄い骨板を隔てて隣接しています。
この位置関係は非常に重要です。
篩骨洞の炎症が眼窩周囲へ波及することがあるのも、両者が近接しているためです。
また、眼窩内側壁には涙骨・前頭骨・蝶形骨なども関係しています。
篩骨は鼻腔の骨であると同時に、眼球を収める眼窩の形成にも大きく関与しているのです。
【篩骨と蝶形骨の関係|頭蓋底中央部のつながり】
篩骨は、後方で蝶形骨と接しています。
この接合部分を蝶篩縫合と呼びます。
蝶形骨は、頭蓋底の中央部に位置する複雑な形状の骨です。
蝶形骨体・大翼・小翼・翼状突起などで構成されています。
篩骨の後方には蝶形骨体が位置し、蝶形骨体の内部には蝶形骨洞があります。
また、蝶形骨の上面にはトルコ鞍があり、その中央に下垂体窩が存在しています。
篩骨と蝶形骨は、前頭蓋窩から頭蓋底中央部へ続く骨格のつながりを形成しています。
頭蓋仙骨療法では蝶形骨が重要視されますが、篩骨との位置関係も理解しておくと、頭蓋底の立体的な構造を把握しやすくなります。
ただし、篩骨と蝶形骨は縫合で結合する骨であり、成人では大きな可動域を持つ関節ではありません。
施術では、こうした骨格の連続性を解剖学的な背景として捉えます。
【篩骨と前頭骨・鼻骨のつながり】
篩骨は、前方・上方で前頭骨と関係しています。
前頭骨は額を形成するだけでなく、眼窩上壁や前頭蓋窩の一部も形成しています。
篩骨と前頭骨は、前頭篩骨縫合などを介して結合しています。
また、篩骨の前方には鼻骨が存在しています。
鼻骨は左右一対の小さな骨で、鼻根部から鼻背上部を形成しています。
鼻骨の上縁は前頭骨と接し、前頭鼻骨縫合を形成しています。
さらに、鼻骨は篩骨とも接しています。
つまり、鼻根部から頭蓋底へ向かう骨格には、
前頭骨
↓
鼻骨・篩骨
↓
蝶形骨
という位置関係があります。
ただし、これは骨の配置を理解するための模式的な整理であり、すべての骨が一直線に並んでいるわけではありません。
篩骨へのアプローチでは、こうした顔面中央部と頭蓋底のつながりを理解しておくことが重要です。
【篩骨と鼻中隔・鼻甲介の関係】
篩骨は、鼻中隔や鼻甲介の形成にも関係しています。
鼻中隔とは、左右の鼻腔を隔てる構造です。
鼻中隔は主に、
・篩骨の垂直板
・鋤骨
・鼻中隔軟骨
によって構成されています。
篩骨の垂直板は、鼻中隔の上部を形成しています。
一方、鋤骨は鼻中隔の後下方を構成しています。
また、篩骨には上鼻甲介と中鼻甲介があります。
鼻甲介は鼻腔の外側壁から内側へ突出する骨性構造です。
鼻甲介によって鼻腔内には複雑な空気の通路が形成され、吸気の加温・加湿・異物除去に関係しています。
なお、下鼻甲介は篩骨の一部ではなく、独立した骨です。
この違いも覚えておきたい解剖学のポイントです。
【篩骨洞と鼻腔・副鼻腔の解剖学】
篩骨の内部には篩骨洞が存在しています。
篩骨洞は多数の小さな空洞から構成され、前篩骨蜂巣・中篩骨蜂巣・後篩骨蜂巣に分類されます。
前篩骨蜂巣と中篩骨蜂巣は、主に中鼻道へ開口します。
一方、後篩骨蜂巣は、主に上鼻道へ開口します。
篩骨洞は鼻腔と連絡し、粘膜で覆われています。
また、篩骨洞の周囲には前頭洞・上顎洞・蝶形骨洞など、ほかの副鼻腔も存在しています。
特に篩骨洞は、眼窩や頭蓋底と非常に近い位置にあることが特徴です。
篩骨を理解する際には、骨の形状だけでなく、内部に存在する空洞と鼻腔への連絡経路も重要になります。
【篩骨と三叉神経|前篩骨神経・後篩骨神経】
篩骨周囲には、三叉神経の枝が分布しています。
特に重要なのが、三叉神経第1枝である眼神経です。
眼神経から分かれる鼻毛様体神経は、前篩骨神経や後篩骨神経を出します。
前篩骨神経は、前篩骨孔を通過して前頭蓋窩へ入り、その後、鼻腔へ向かいます。
鼻腔前方の粘膜や外鼻の一部の感覚に関係しています。
一方、後篩骨神経は、後篩骨孔を通過し、後篩骨蜂巣や蝶形骨洞の粘膜などに分布します。
また、篩骨周囲には眼窩上神経や滑車下神経なども近接しています。
つまり、篩骨の周囲には、嗅覚を担当する嗅神経だけでなく、鼻腔や顔面の感覚を担当する三叉神経の枝も存在しているのです。
嗅神経と三叉神経は役割が異なるため、区別して理解しておきましょう。
【頭蓋仙骨療法で篩骨にアプローチする理由】
頭蓋仙骨療法では、頭蓋骨と周囲の結合組織の連続性を重視します。
篩骨は、前頭骨・蝶形骨・鼻骨・上顎骨などと関節しており、頭蓋底と顔面中央部の間に位置しています。
さらに、鶏冠には大脳鎌が付着し、篩板には嗅神経線維が通過しています。
そのため、篩骨は骨格・硬膜・神経の関係を理解するうえで重要な骨です。
ただし、篩骨は頭蓋の深部に存在しているため、体表から直接触れることはできません。
頭蓋仙骨療法における篩骨リリースは、前頭骨や鼻根部周囲の組織を介した間接的な接触として考えることができます。
重要なのは、篩骨そのものを強く押し込んだり、無理に動かそうとしたりしないことです。
【篩骨リリースの基本原理|前頭骨・鼻骨へのアプローチ】
篩骨への間接的なアプローチでは、前頭骨や鼻根部周囲への穏やかな接触が基本になります。
前頭骨は篩骨と接しており、鼻根部では鼻骨や上顎骨の前頭突起などが近接しています。
そのため、前額部や鼻根部周囲の皮膚・皮下組織・表情筋を意識した接触を行います。
例えば、前額部では前頭筋や皮下組織の位置を理解し、無理のない範囲で軽い接触を加えます。
鼻根部では、鼻根筋や皺眉筋などの周囲組織を意識します。
このとき、鼻骨を強く圧迫したり、眼窩内側へ力を加えたりしないことが重要です。
また、篩骨の篩板は非常に薄く、その近くには嗅神経や頭蓋内の構造が存在しています。
鼻腔内へ器具や指を深く挿入して篩骨へ力を加えるような方法は避ける必要があります。
篩骨リリースは、深部の篩骨を直接操作するのではなく、周囲の表在組織への穏やかなアプローチとして整理すると理解しやすくなります。
【篩骨と蝶形骨の連続性を意識したアプローチ】
篩骨と蝶形骨は、頭蓋底で接している骨です。
篩骨は前頭蓋窩の一部を形成し、蝶形骨は頭蓋底中央部の形成に関係しています。
また、篩骨の鶏冠には大脳鎌が付着し、蝶形骨周囲には海綿静脈洞や複数の脳神経が存在しています。
このように、篩骨と蝶形骨は骨格だけでなく、周囲の硬膜・血管・神経との位置関係も重要です。
頭蓋仙骨療法では、前頭骨・鼻骨・蝶形骨などへのアプローチを組み合わせる考え方があります。
ただし、これらの骨は縫合で結合しており、体表からの軽い接触によって篩骨や蝶形骨が独立して大きく動く構造ではありません。
施術では、骨の位置関係を理解しながら、前額部や鼻根部周囲の軟部組織に穏やかな刺激を加えることが基本になります。
【まとめ|篩骨は頭蓋底・鼻腔・眼窩をつなぐ重要な骨】
篩骨は、前頭骨・蝶形骨・鼻骨などと関係し、頭蓋底・鼻腔・眼窩を形成する重要な骨です。
特に、篩板と嗅神経、鶏冠と大脳鎌、篩骨迷路と眼窩内側壁の関係は、頭蓋仙骨療法を学ぶセラピストにとって重要な解剖学です。
今回紹介した篩骨の立体的な構造や、前頭骨・鼻骨・蝶形骨との位置関係、具体的なリリーステクニックについては、YouTubeでも詳しく解説していきます。
文章だけでは分かりにくい篩骨の構造や、頭蓋底とのつながりも、動画で確認すると理解が深まります。
ぜひYouTubeもチェックして、明日の臨床に役立ててください!
ALLアプローチ協会
代表 山口拓也




















