ALLアプローチ協会 関東支部長 鈴木 正道です。
今回は、【頭蓋・内臓】頭蓋骨と内臓のつながりについてお伝えいたします。
解剖的に内臓との関係性が具体的に明確な部分は少ないですが、
その中でもつながりで説明できる頭蓋・内臓の関係性は少ないと思います。
しかし、面白い内容を発見したのでお伝えさせて頂きます。
内胚葉由来の内胚葉官の中心的かつ最初の溝である咽頭上端は
蝶形後頭底結合のすぐ後下方にあり、ここで、咽頭縫線が後頭底に接続しています。
◆内胚葉由来の組織は
咽頭嚢:
咽頭・耳管・鼓室・甲状腺
上皮小体、口蓋扁桃
原腸:
気管・気管支、肺の上皮、
食道、胃、腸管、肝臓、胆嚢、膵臓
尿膜管:
膀胱、尿道、前立腺、膣
これら内胚葉由来の組織がすべて後頭底からぶら下がっているような構造になっています。
そして、蝶形後頭底結合の軟骨結合は、中胚葉由来で中胚葉由来である腎・尿管や筋骨格組織、内臓平滑筋、胸膜、腹膜、心臓、脈管、リンパ系、脾臓、などとつながりがあります。
後頭骨・蝶形骨に内胚葉・中胚葉由来のつながりがあり、
その蝶形骨に外胚葉由来の下垂体が乗っているので、
このディープフロントラインの上端部分には全身への影響が強いことが示唆されます。
解剖学的に残っている頭蓋と内臓の連結としては、一番わかりやすいのが、ディープフロントラインが胸腔内で心膜を連絡して、最後は内側翼突筋にまで連結し、最後は蝶形骨に終わる部分です。
蝶形骨を調整することでディープフロントラインの動きに変化を与えることができるので、
私は蝶形骨のアプローチの確認として股関節屈曲可動域やSLRの重さの感覚などを患者さんに聞いてみたりしています。
セミナーでは右の後頭骨から小腸に対するアプローチをすることをお伝えしています。
このつながりは内胚葉由来の後頭骨との連結が関与していると思われます。
実際後頭骨にアプローチしていると小腸の張りが改善したり、
腹部が暖かくなるので関係性を感じることはできると思います。
発生学的なつながりや筋膜の連結など様々な観点から
人体のつながりを探していくのはとても面白いですね。
最後に蝶形骨に対するアプローチです。
【蝶形骨に対するアプローチ】
(解剖学)
蝶形骨の周囲には、頭蓋骨の多くが接しており中心部に存在しギアのような役割をしている。
蝶形骨の動きを外側の頭蓋骨で制限を起こしている場合が多く、
故に頭蓋仙骨療法をする際は、外側の頭蓋から治療をする必要がある。
蝶形骨の前に前頭骨や側頭骨・後頭骨・頭頂骨・頬骨・上顎骨・顎関節・などの調整をしてから最後に行います。
最初に蝶形骨の治療をしてしまうと、動きを解放しきれなかったりもどりにつながってしまいます。
〈具体的に蝶形骨に接している骨〉
・前方:篩骨と前頭骨
・後方:後頭骨
・側方:側頭骨
・上方:頭頂骨
・前側方:頬骨
・前下方:口蓋骨
【蝶形骨が直接及ぼす障害】
蝶形骨と後頭骨が作る蝶形後頭底結合の部分は、頭蓋仙骨リズムにとって硬膜の連結を介して
仙骨とつながる重要な部分となり、脳脊髄液の運搬にもとても重要な部位となります。
(蝶形骨の障害による症状一覧)
・片頭痛
・涙腺障害
・アレルギー性鼻炎
・小児の眼精疲労と斜視
・咀嚼筋の硬さを生み出し咀嚼障害を引き起こす
・視覚障害
(内分泌の障害)
ホルモン制御の中枢である下垂体は蝶形骨のトルコ鞍にあるため、蝶形骨は下垂体の機能に影響を与えてしまう。
下垂体を介して、視床下部・下垂体・副腎軸(HPA軸)を介した
ストレス抑制システムが機能低下を起こし、精神面や、行動面に異常をきたすようになったり、抗炎症能力が低下してしまうこともある。
【蝶形骨治療のワンポイントアドバイス】
・蝶形骨の治療は、最後に行うのはもちろんだが何が原因で悪くなっているかを判断する
(前頭骨の影響なのか?心臓の影響なのか?など・・・)
・蝶形骨のアライメントを3Dで評価して正中位に誘導していく
・圧を強すぎない
(蝶形骨の歪みや動きをセラピスト側が止めてはいけない)
【まとめ】
・蝶形骨は、できる限り最後に治療を行う
・タッチは繊細に
・蝶形骨が悪いと
視覚障害や咀嚼・偏頭痛などが出やすい。
本日は以上になります。
ALLアプローチ協会 関東支部長 鈴木 正道