いつもALLアプローチ協会のブログを見て頂き有難うございます。
ALLアプローチ協会 代表 山口拓也です。
今回は、筋膜リリースや内臓リリースなどをしているセラピストに向けて
「癒着に対する知識・考え方」というテーマで記事を書かせて頂きます。
筋膜同士の癒着を剥がしたり内臓同士の膜の癒着を剥がす施術をしているのであれば
癒着とは何なのか?を解説しますので最後まで聞いていただければと思います。
筋間中隔には、結合組織(筋膜)によって隔てられているため
非常に癒着が起きやすい部位なのでぜひ知っておきましょう。
【そもそも癒着って何?】
癒着(ゆちゃく)とは炎症などにより、本来離れているべき組織同士が臓器や組織がくっついてしまうことを指します。
手術後の癒着や腸(腸管漿膜)と腹膜の癒着、腸同士の癒着により
腸閉塞や腹膜炎などにつながる際に表記される事が多いです。
しかし、癒着は手術後や腸のみで起こるわけではなく筋膜同士や他の内臓の膜同士にもみられます。
筋膜や内臓における癒着について解説していこうと思います。
■筋膜の癒着の話
まず、筋膜とは筋肉を包む膜のことです。
筋膜と言っても、いろいろ種類があり下の写真を見てもらえれば分かると思いますが
浅筋膜や深筋膜・筋外膜・筋周膜・筋内膜などいろいろ種類があります。
(筋膜の役割)
①各組織を包み込み、組織と組織の間に仕切りをつくり分けると同時に結びつけ、体の姿勢を保つ役割を持つ
②組織同士がこすれあうことで生じる摩擦から保護する
③筋膜は、筋線維の動きを支え力の伝達を行う
皆さんがよくアナトミートレインを意識してアプローチすると思いますが
全身の膜としてリリースするのは深筋膜を意識してリリース(解放)をかけます。
深筋膜に筋外膜の一部が入り込んで癒着してしまうケースが多いためです。
さらに、この筋膜は全身につながっており内臓の膜ともつながっています。
筋膜の癒着が起こる要員として、
・使いすぎによる炎症
・筋膜の成分の変化による脱水
・不動による血液・エネルギー不足
などが原因で筋膜同士がくっついてしまい癒着した状態になってしまいます。
■筋膜が癒着しやすい人の特徴
筋膜自身はコラーゲンでできており、85%が水分です。
水分の枯渇により癒着しやすい状態で、同じ姿勢での長時間作業や、不動などのストレスがかかることにより癒着が発生してしまいます。
まずは、筋膜リリースや内臓リリースをする際は
水分摂取をしっかりするように指導しておきましょう。
■癒着が起こるとどうなるの?
癒着により滑走障害を引き起こし可動性低下、筋出力制限や分離収縮不全(互いの筋肉の作用を邪魔し合う。上腕二頭筋と三頭筋など)、血行障害などを引き起こします。
他にも老廃物が流れなくなってしまい筋肉だけではなく、つながっている血管や神経、リンパ管も
影響を受けてしまいます。
■筋膜の癒着による痛みについて
筋膜リリースをすると腰痛や肩こりが解消される現象に関してですが、理由があります。
また筋膜は筋肉だけでは無く靭帯・骨・関節・内臓などすべての器官も包み込み、全身を連結し「第二の骨格」と言われており、膜の張力で姿勢を維持する支えとなっています。
筋膜には痛覚神経が多く筋肉の約10倍あり痛みの閾値も非常に低いため、筋膜から痛みが起こるケースも非常に多くあります。
■まとめ
・手術後や腸管以外にも癒着は起こる
・筋膜の癒着は、筋外膜と深筋膜同士の癒着で痛みや痺れが引き起こるケースがある
・筋膜(内臓含む)の癒着は、脱水によって引き起こるため水分摂取も重要になってくる
・筋膜の癒着は、炎症や水分不足、不動、使いすぎ、長時間作業などによって引き起こる
・筋膜は、痛みの閾値が低く感覚が豊富なため痛みにつながりやすい
以上です。
ぜひ臨床の参考にして頂ければ幸いです。
ALLアプローチ協会 代表 山口拓也