筋膜リリース

セラピストが理解すべき膝関節の構造・機能・評価について

おはようございます。
ALLアプローチ協会 山口拓也です。

本日もメルマガ、ブログをお読みいただきありがとうございます。 

今回も臨床で必要となる基礎解剖学や明日から活用できる評価などをお伝えしていこうと思います。

今回のテーマは『膝関節の構造・機能と評価』です。

皆さん、膝関節ってややこしいイメージはありませんか?

私は学生の頃から少し前までは「様々な筋肉が付着しているし、靭帯や半月板があってややこしそう!」と思っていました。

ですが、実際に勉強してみると以外に単純で、また評価さえ間違えなければ、あっさりと治ってしまうケースも多いです。

ですから、今から早速、そんな一見ややこしそうに感じる膝関節についてシェアしていきたいと思います。

〈目次〉

⑴膝関節の構造・機能

⑵膝内側の痛みとその評価(伸長ストレス)

⑶まとめ

⑴膝関節の構造・機能

膝関節=大腿脛骨関節+膝蓋大腿関節

◆大腿脛骨関節について

完全伸展位で安定性が高まりますが、膝に伸展制限があれば、側副靭帯の適切な緊張が得られずに、不安定が出てしまいます。

長期にかけて、不安定が出ている状態の膝では、安定性を高めるために、骨棘が生じるようになり、痛みや可動域制限が出てしまうこともあります。

◆膝蓋大腿関節

膝関節屈曲位で安定性が高まり、荷重下では、膝関節を屈曲するのに大腿四頭筋の活動が必要になります。

大腿四頭筋の柔軟性低下や筋力低下は、膝蓋大腿関節の正常な運動を阻害し、膝蓋骨周囲に痛みが出ることがあります。

膝関節屈曲時、脛骨に対して大腿骨が後方に転がり、前方に滑り(伸展時はその逆の動き)、

水平面状では、伸展最大最終域時、大腿骨に対して脛骨が外旋します。(スクリューホームムーブメント)

また、屈曲時には、脛骨は内旋していきます。

静的安定機構:靭帯(内外側副靭帯・前後十字靭帯・膝蓋大腿靭帯・膝蓋脛骨靭帯)・半月板 

大腿脛骨関節の安定化させる役割:動的安定機構

内側広筋:膝蓋大腿関節において、膝蓋骨を内側に引き寄せる機能を持つ。

膝窩筋:膝関節屈曲位において、脛骨関節面に対して、垂直に、求心位をとる作用がある。

⑵膝内側の痛みとその評価

膝にかかるストレスは大きく分けて伸長ストレスと圧縮ストレスです。

膝関節が外反される時、膝内側に伸長ストレスが加わり、X脚や膝内側の軟部組織やその周囲の筋肉の柔軟性が低下すると、伸長ストレスは増強します。

これらの軟部組織や筋肉は下腿外旋作用を持っているものが多いため、下腿外旋によって痛みが増強するか確認していく必要性があります。

このことから、伸長ストレスによって疼痛が生じる場合は、『内側側副靭帯、鷲足、半膜様筋、腓腹筋内側頭』に由来する機能障害を疑います。

膝関節が内反される時、膝内側には圧縮ストレスが加わり、O脚や膝外側の軟部組織やその周囲の筋肉の柔軟性が低下すると、圧縮ストレスは増強します

圧縮ストレスによって疼痛が生じる場合には内側半月板や大臀筋や大腿筋膜張筋に由来する機能障害を疑います。

◆伸長ストレスに関して

・内側側副靭帯

内側側副靭帯は膝関節の内側に広く存在するため外反を制動します。

内側側副靭帯の制動力は膝関節5度屈曲位おいて約55パーセント、25 度屈曲位においては約80パーセントを占めると報告されています。

そのため、膝関節軽度屈曲の外反強制により膝内側の痛みが生じた場合には主要な制度要素である内側側副靭帯の損傷が疑われます。

また、内側側副靭帯は膝関節最大屈曲位で緊張が増大することが知られています。

これは巻き込み現象と言われ、表層の内側側副靭帯の滑り込むように関節に巻き込まれることで起こります。

そのため最大屈曲で大腿骨内側上顆に疼痛が生じることが多いです。

◆鷲足について

縫工筋、薄筋腱、半腱様筋腱の停止している部分です。

縫工筋は,扁平な腱膜となって、表層の筋膜層に付着し、薄筋腱、半腱様筋腱はそれを上から包み込むように停止しています。

その構造から、膝関節外反や下腿外旋位のアライメントになると、鷲足構成筋な過剰な筋収縮が起こり、停止部付近の疼痛や、鷲足部滑液包への摩擦ストレスによる疼痛が生じます。

また、鷲足構成筋は下腿筋膜と繋がっており、筋収縮により、下腿筋膜の緊張を増加させます。

そのため、腓腹筋の柔軟性の低下や筋力が低下していると、それを代償するため、鷲足構成筋が過剰な収縮を起こし、鷲足炎になることがあります。

◆半膜様筋、腓腹筋内側頭

半膜様筋は、ハムストリングスを構成する筋群の1つです。

坐骨結節から起始し、大腿中央部から厚みを増しながら、半腱様筋の深層を通過しています。

以外かもしれませんが、停止腱は5本に分かれていて、2束は脛骨側に、残りの3束は膝窩部の靭帯や膝窩筋の筋膜に付着しています。

このように半膜様筋の停止部は膝窩部に広く付着しているため、膝窩部の靭帯や内側側副靭帯などに損傷があると、その代償として半膜様筋に過剰な筋収縮が起こる可能性があります。

腓腹筋は、内側頭と外側頭があり、最終はアキレス腱となり踵に付着します。

腓腹筋内側頭の起始部は半膜様筋も覆われるように深層に存在し、そのため、半膜様筋や腓腹筋の筋緊張や短縮などが起こると、両筋の筋間で滑走不全が生じ、筋スパズムが発生します。

 
⑶まとめ

今回は伸展ストレスによる膝内側の痛みについてご紹介しました。

半膜様筋腱は5束あるなど、以外に知られてない内容もあったのではないでしょうか。

 では、本日もお読みいただきありがとうございました。

ALLアプローチ協会 代表 山口拓也

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