おはようございます。
All アプローチ協会 関東支部長 鈴木 正道です。
本日も当協会のメルマガをご覧いただきありがとうございます。
今回は、理学療法士、作業療法士、柔道整復師の方々へ向けて、
「ストレスホットラインHPA軸」
についてお伝えしたいと思います。
【HPA軸とは】
HPA軸とは、視床下部―下垂体―副腎軸のことで
副腎皮質刺激ホルモン放出因子やTRH(thyrotropin-releasing)
といった視床下部ホルモンが、
視床下部―下垂体―副腎軸を活性化するのみならず、
中枢神経系を介して消化管機能を調節することも
明らかとなってきている。
この副腎皮質刺激ホルモン放出因子は、
下垂体前葉の副腎皮質刺激ホルモン分泌を刺激し、
副腎皮質刺激ホルモンは、副腎皮質からの
糖質コルチコイド分泌を刺激し、ストレスに対して
適応するさまざまな生体反応を引き起こします。
【視床下部】
◆視床下部から放出されるホルモン↓
副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン (CRH)
成長ホルモン放出ホルモン (GHRH)
成長ホルモン抑制ホルモン (GIH)
性腺刺激ホルモン放出ホルモン (GnRH)
プロラクチン放出因子 (PRF)
プロラクチン抑制因子 (PIF)
甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン (TRH)
ソマトスタチン (SS)
◆視床下部の役割↓
ホルモンの放出以外にも、
摂食・満腹・口渇中枢や、生活動の中としての役割がある。
視床下部全体として、自律機能の調節を行う総合中枢であり、
中脳以下の自律機能を司る中枢がそれぞれ呼吸運動や血管運動などの
個々の自律機能を調節するのに対して、
視床下部は交感神経・副交感神経機能及び内分泌機能を全体として
総合的に調節している。
【脳下垂体】
◆脳下垂体から放出されるホルモン
・前葉
ACTH (副腎皮質刺激ホルモン)
GH (成長ホルモン)
PRL (プロラクチン)
TSH (甲状腺刺激ホルモン)
LH (黄体形成ホルモン)
FSH (卵胞刺激ホルモン)
・中葉
MSH (メラニン細胞刺激ホルモン)
・後葉
OXT (オキシトシン)
VP(=ADH) (バソプレッシンまたは抗利尿ホルモン)
(脳下垂体の構造的特徴)
脳下垂体前葉のホルモンの分泌を調節するホルモンは、
視床下部から分泌されており、
脳下垂体を通る血管のうちの一部は、
視床下部を経由してから脳下垂体に入るた
そのため、視床下部の分泌調節ホルモンの刺激が効率よく
脳下垂体前葉に伝わるような血管構造になっている。
一方、脳下垂体後葉ホルモンは、視床下部の神経細胞で産生され、
神経細胞の軸索を通して運ばれる。
この軸索は視床下部から脳下垂体後葉にまで達しており、
ここで血管に放出される。
【副腎】
(副腎皮質について)
コレステロールを原料にステロイドホルモンが分泌される。
それらのホルモンをまとめて副腎皮質ホルモンと総称する。
副腎皮質ホルモンは、その機能から大きく3つに分類される。
体内での糖の蓄積と利用を制御する糖質コルチコイド
無機イオンなどの電解質バランスを調節する鉱質コルチコイド
そして生殖機能に関与する性ホルモン、特にアンドロゲンが有名。
副腎髄質からは、
カテコールアミンであるアドレナリン、ノルアドレナリンが分泌され、
体のストレス反応などの調節を行っている。
皮質と髄質とは発生学的にも機能的にも直接の関連性はない。
【HPA軸の流れ】
私たちが不安や緊張などのストレスを感じると、
脳の視床下部から
CRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)が放出されます。
CRHは同じく脳にある下垂体から産出されるACTH(副腎皮質刺激ホルモン)の分泌を促進し、
血液中に放出されたACTHが副腎にたどり着くと、
糖質コルチコイド、鉱質コルチコイド、アンドロゲンという
3種類の副腎皮質ホルモンの合成と分泌を刺激します。
「コルチゾール」は、糖質コルチコイドの1種であり、
さまざまなストレスに反応して分泌されるため、
アドレナリン、グルカゴン、成長ホルモンと共に
「ストレスホルモン」とも呼ばれています。
コルチゾールはストレスを感じた時だけに分泌されるわけでなく、
元々、起床の約3時間前から分泌が増え始め、
起床時に分泌量がピークに達します。
その後、徐々に減少して、就寝前には非常に少なくなります。
日中も一定量分泌されていますが、私たちが何らかのストレスを受けると、
コルチゾールは分泌量を増やします。
その作用で血圧を上昇させ、
ストレスという非常事態に対応するための
「闘争」もしくは「逃避」に備えます。
コルチゾールなどのストレスホルモンは、
良くないホルモンとして誤解されがちですが、
ストレス時に分泌されるのは、
体がストレスをもたらす環境に適応するための反応なので、
コルチゾールはストレスへの対処に不可欠な大切なホルモンなのです。
コルチゾールには血圧上昇のほかにも、
脂質やたんぱく質をエネルギーに変えたり、
体内の炎症を抑制したりするなどの作用があります。
また、肝臓で蓄えられていたグリコーゲンを分解し、
ブドウ糖にして血液中に放出し、血糖値を上昇させる働きもあります。
コルチゾールはこのような作用を通じて日常的に、
血圧や血糖値の低下状態を防ぐ体の危機管理をしているのです。
【HPA軸+α】
これらHPA軸は最初にも述べたように、
中枢神経を介して消化機能にも影響を与え、
脳腸相関にも深く関与していると最近の研究で注目されています。
これらストレスホットラインが、消化管機能に影響を与え
胃酸分泌や、蠕動運動に影響を与えるのであれば
内臓調整を行う上で、腸管のアプローチだけでは
不十分だということがわかります。
消化器系にアプローチをするのであれば、
根本をたどるとストレスに対応するHPA軸のことも考え、
視床―下垂体のアライメントや循環にもアプローチが必要となり、
副腎自体のアプローチもできて
ようやく消化器系の治療の戻りを減らせます。
本日も最後までご覧いただきありがとうございました。
今日も一日良い時間をお過ごしください。
鈴木 正道