みなさん、こんにちは。
ALLアプローチ協会 代表 山口拓也です。
本日も当協会の公式ブログをお読みいただきありがとうございます。
本日もセラピストや治療家の皆さんに臨床で使えるヒントやアイデアをお伝えしていきますね。
今回のテーマは『東洋医学における脾の働き』です。
前々回から続いている東洋医学シリーズです。
前回は『東洋医学における健康の概念や肝の働き』をお伝えしました。
今回お伝えする内容も同様で以前の記事(東洋医学の基礎概念)を読まないと少し分かりにくいかもしれないので、是非読んでおいてくださいね。
【東洋医学における脾とは?】
東洋医学における脾には、様々な働きがあるが、代表的なところで言うと、腎とともに、生命活動を担う役割があります。
西洋医学では、脾臓は、老化した赤血球を分解するなどの働きがあると考えられていますが、東洋医学ではかなり異なります。
東洋医学では腎が親から受け継いだ先天的な生命力に対して、脾は、後天的に食物から生命力を作り出す働きがあります。
そのほか、具体的な役割としては、4つあります。
①化生作用
食物から得たエネルギーを分解吸収して、気・血・津液を作り出す働きです。
②運化作用
気・血・津液を全身に運搬する働きです。
③昇清作用
食物から得たエネルギーを肺に送り。そして気の生成に利用されます。
また、エネルギーを上向きに巡らせる作用もあります。
④統血作用
血が血管内を一定方向に巡る様に誘導する作用と、血が漏出するのを防ぐ作用もあります。
【脾の不調】
・脾気虚
脾の機能が低下する症状。
食物から得たエネルギーを分解吸収できないことから、全身の倦怠感や無力感、食欲不振、腹部の不調や鈍痛。
さらに食べると、腹部の膨満感、下痢、吐き気、げっぷが多いなどの胃腸症状が生じます。
・脾陽虚
脾気虚が進行した状態。
腹部の冷え、下痢、皮膚蒼白などの虚弱体質になります。
・脾気下陥
昇清作用が低下した状態。
エネルギーを上向きに巡らせる作用が低下するので、 胃もたれ、胃下垂、脱肛などの臓器や器官が下に落ちる作用が見られます。
・脾不統血
統血作用が低下した状態。
血が血管から漏れ出るため、皮下出血、血便、貧血などが起こります。
まとめると、脾の不調は胃腸系の症状や、体力低下、虚弱を起こしてしまいます。
この様な症状が出た場合は、食べるのを控え、体を温め、十分な睡眠を取る様にすると良いです。
【東洋医学における肺】
東洋医学における肺は、生体と外界を隔てるバリア・フィルターとしての働きがあります。
西洋医学おいては、肺は呼吸の働きとして考えられていますが、東洋医学では、呼吸の働きに加えて、外敵の侵入を防ぐ働きと、気・血・津液を生体外に漏れ出さないように守る作用があります。
要するにバリア・フィルター機能です。
このバリア・フィルター機能は3つの作用に分かれます
・宣散作用
過剰な気や津液を生体外へと発散させる働き
・粛降作用
外向きに拡散しようとする気や津液を体表部で押しとどめ、体内に押し返す働き。
・免疫作用
免疫作用を持つ衛気を体表にまんべんなく広がるのを助ける働き。
【肺の不調】
・肺気虚
呼吸器系の機能が低下している状態。
症状としては、力のない咳、息苦しさ、透明な痰、疲れやすさなど、風邪を引いた様な症状になります。
・肺陰虚
津液の代謝機能が低下したことにより、津液不足が起こっている状態。
症状としては、乾いた咳、口渇、粘り気のある痰、寝汗などが現れやすいです。
・風寒塞肺
肺の宣散作用が低下した状態。
体外に放散できなくなった気や津液が咳や鼻水、発熱などとなって現れる症状です。
・風熱閉肺
免疫機能が低下し、肺に熱がこもる状態。
インフルエンザなどが代表的。重い風邪の様な症状が出ます。
まとめると、肺の不調は呼吸器系、免疫系も症状を起こしてしまいます。
【経絡を使った調整方法】
・脾の経絡
脾経は、足の親指の内側(末節骨橈側、爪の生え際)から脛骨の後縁を通り、大腿部の内前側を上がって腹中に入り、消化器官などを流れている経絡です。
下腹部の不調や股関節痛や膝内側痛に効果があります。
原穴は太白(タイハク)というツボです。
太白の場所は、第1中足骨の内側を後方から前方に撫でていき、指が止まったところにあります。
*原穴は気が多く集まるところで、五臓六腑の病気に応じて反応が出るとこでもあります。
・肺の経絡
肺経は、胃袋あたりから始まって肺や気管、咽喉を巡ってから烏口突起、上腕全面辺りに出て、親指(末節骨橈側、爪の生え際)にかけて流れている経絡です。
風邪の様な症状や、鎖骨、上肢前の痛みなどに効果的です。
原穴は太淵(タイエン)です。
太淵は橈骨茎状突起と舟状骨の間、橈骨動脈拍動部です。
【経絡の調整方法】
前回の記事でもお伝えしましたが、
調整方法は、簡単で、(井穴『セイケツ』)をグリグリと少し痛い程度にマッサージします。
脾経でいうと「足の親指の内側(末節骨橈側、爪の生え際)」肺経でいうと「手の親指(末節骨橈側、爪の生え際)」です。
この部分がマッサージをして痛くなくなったら調整は終了です。
経絡の走行をイメージして、さらに気を通すイメージで行うと効果は上がります。
もう一つの調整方法は原穴を使う方法です。
原穴の部分が凹んでおり、ふにゃふにゃしている様であれば、関係している臓器が弱っているとみなし、その部分をさする程度の刺激で大丈夫です。
しかし、原穴の部分が、張っていて、硬くなっている様であれば、関係している臓器働きすぎと考え、その部分を押圧します。
硬さが取れたら終了です。
経絡を治療で使える様になると、痛みはもちろん、内科系疾患にも活用できるので、ぜひ試してみてくださいね。
では、本日はこれで以上になります。
次回は、東洋医学における腎、小腸、大腸などの六腑についてご紹介してきます。
では、本日も当協会も公式ブログをお読みいただきありがとうございます。
ALLアプローチ協会 代表 山口拓也