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腕橈骨筋の解剖学×リリースポイント×触診×経絡経穴を使ったアプローチ方法

ALLアプローチ協会 触診大好きセラピスト ブル と申します。

本日は1~3年目の理学療法士・作業療法士・柔道整復師・整体師など

新人セラピストの先生方、学生さんに向けて

「腕橈骨筋の解剖学×リリースポイント×触診×経絡経穴を使ったアプローチ方法」

というテーマについてお伝えしたいと思います。

どうぞよろしくお願い致しますm(__)m

腕橈骨筋といえばすでに多くの方が

評価やアプローチしている事と思います。

肩痛・肩こり・頸部痛・腰痛・はたまた膝痛にまで

影響することもありますよね。

ぜひここでしっかり触れるようになって頂けたらと思います。

触診で間違えやすいポイントや、

アプローチする際のポイントについてもお伝えしていますので、

ぜひご活用頂けたらと思います(^^)

復習としてもご活用下さいませm(__)m

<腕橈骨筋の基本情報>

〇起始:上腕骨外側上顆上稜の近位2/3 外側筋間中隔

〇停止:橈骨茎状突起の基部

〇支配神経:橈骨神経(C5.C6)

<筋の走行と作用(起始停止)を確認しよう>

〇走行

腕橈骨筋は解剖学的肢位で上腕骨の遠位外側から

前腕の外側に走行している細長い形をした筋です。

起始は上腕骨外側上顆上稜の遠位1/3、外側筋間中隔。

そして停止は橈骨茎状突起の基部となっています。

前腕部の遠位1/2の領域では腱のみで構成されます。

〇作用

腕橈骨筋はその走行から

前腕の回旋肢位の違いによって作用が変わります。

回内位では前腕回外に作用し、

中間位では肘屈曲に、

そして回外位では肘外反や前腕を中間位もどす作用をします。

触診の際は前腕回内外中間位で肘屈曲運動を促す事で

収縮を確認しながら触察していくことが多いですね(^^)


<周辺組織との位置関係>

腕橈骨筋を触診する時に注意したいのが、

長短橈側手根伸筋と間違える事です。

ここを間違えないために、

それぞれの筋の走行や位置関係のイメージを

しっかりと持っておくと良いかと思います。

腕橈骨筋・長短橈側手根伸筋は上腕と橈骨に付着しています。



そして解剖学的肢位からみると

前腕部の橈側面と後面を走行しています。

これを橈側面➡後面の順に並べてみると

腕橈骨筋➡長橈側手根伸筋➡短橈側手根伸筋となります。

※それぞれの筋は重なり合っている部分もあります

という事は・・・

触診の際の注意点として、

上腕骨の外側上顆周囲では

長橈側手根伸筋と腕橈骨筋の位置関係に注意する必要があります。

私の感想としては

腕橈骨筋は思ったより肘窩よりに位置しているんだなと感じました。

上腕骨外側上顆付近で触れる筋腹は

長橈側手根伸筋なので腕橈骨筋と間違えないよう注意です!

<腕橈骨筋が肩こりや五十肩、腰痛、頸部痛などに関係する理由>

腕橈骨筋にアプローチすることで、肩痛や肩こりだけでなく

頸部痛や腰痛などが軽減することって多いですよね。

原因は様々だと思いますが、

筋筋膜や経絡の観点から考えてみるのも面白いです。

ここでは筋膜の観点から少し紹介させて頂きますね(^^)

腕橈骨筋は橈骨に付着しているため

アナトミートレインで言うところの

ディープフロントアームライン(DFAL)との関連があります。

DFALとは

小胸筋➡烏口突起➡上腕二頭筋・上腕筋・烏口腕筋➡橈骨骨膜➡母指球筋

の繋がりです。

腕橈骨筋は橈骨骨膜に接続があるため、

腕橈骨筋の硬さが橈骨骨膜に影響を及ぼし、

DFALを介して小胸筋を硬くしてしまう事があります。

小胸筋が硬くなり、肩甲胸郭関節の動きが制限されることで

四十肩や五十肩の原因にもなりますし、

ストレートネックや猫背姿勢にもなってしまいます。

その結果、僧帽筋や肩甲挙筋、菱形筋などの肩こり筋が伸張され

肩コリなどの症状が引き起こされることがあります。

また、

鎖骨胸筋筋膜を介した原因を考察しても面白いです。

鎖骨胸筋筋膜は鎖骨から腋窩までの大胸筋の深部を通り、

小胸筋と鎖骨下筋の両方を包んでいます。

この領域で神経血管とリンパ組織とも接触しています。

つまり

腕橈骨筋の硬さが橈骨骨膜に影響を与え、

DFALを介して小胸筋を硬くした結果

この鎖骨胸筋筋膜を介して肩周囲や頸部へ、

神経血管への影響を与える事も考えられます。

さらに

これらの影響が頸部の斜角筋などにも影響を及ぼしていくと、

斜角筋はDFLに属しているので

DFLを介して腰痛や膝痛などにも影響する可能性も出てきます。

他にも、

腕橈骨筋は外側筋間中隔に付着しているので、

スーパーフィシャルバックアームライン(SBAL)との関連があります。

SBALは

後頭骨稜・項靭帯・胸椎棘突起➡僧帽筋➡三角筋➡外側筋間中隔➡前腕伸筋群➡手根伸筋群➡指の背側面

のつながりです。

このつながりから症状の原因を考察するのも面白いかと思います♪

もちろんこれ以外にも様々な事が考えられます。

腕橈骨筋一つとっても体中の様々な場所と関連があるので、

施術で困った時は視野を広げてみると

解決の糸口が見つかるかもしれません。

これは自分に言い聞かせながら書いています(笑


<リリースポイント>

〇腕橈骨筋と長橈側手根伸筋の筋間

筋間を丁寧にさくようにリリースしてみて下さい。

〇腕橈骨筋の筋腹(起始部付近)

ここはトリガーポイントや経穴(ツボ)があったりと

筋硬結が生じやすい場所になります。

〇手三里 (大腸経の経穴)

場所は肘を十分に屈曲させた時にできる肘窩横紋外端の陥凹部を触ります

そこから親指2横指分下方にあります。

次に触診についてです。

<触診方法>

肢位:背臥位または座位にて肘関節90°屈曲位 前腕回内外中間位

ランドマーク:上腕骨の外側上顆

       橈骨の茎状突起

触診方法:

腕橈骨筋と長橈側手根伸筋の筋腹の位置を確認
腕橈骨筋と長橈側手根伸筋は並んで走行しているため、

筋腹の位置を鑑別できると良いですね。

腕橈骨筋を触診しているつもりが

長短橈側手根伸筋だったという事がないようにするためです。

肘窩と上腕骨外側上顆に指を当て、

そこで掴んだ筋腹は腕橈骨筋と長橈側手根伸筋です。

この筋腹のだいたい中央辺りに指を押し込んでいくと

両筋の筋腹が確認できると思います。

〇確認の方法

肘関節屈曲を促して収縮を確認していくのですが、

ここでポイントなのは、

手関節を跨いでいる筋と跨いでいない筋の違いを利用する事です。

停止部が手関節を跨いでいないのが腕橈骨筋

停止部が手関節を跨いでいるのが長橈側手根伸筋でしたね。

つまり、

手関節より遠位に抵抗を加えて肘屈曲の動きを促せば

長短橈側手根伸筋が活動しやすくなります。

反対に

手関節より近位(前腕部)に抵抗を加えると

長短橈側手根伸筋の活動が低下し腕橈骨筋が触察しやすくなりますね♪

試しに自分の手で前腕に抵抗を加えた時と

手関節に抵抗を加えて肘屈曲した時で筋の膨隆を確認してみて下さい。

長橈側手根伸筋の活動が加わるので

本来の腕橈骨筋より大きく観察されると思います。

2.1で確認した筋腹より遠位(手関節側)の触察

1で確認した筋腹から橈骨茎状突起に向かって触察していきます。

前腕の遠位1/3辺りから腱組織へと移行します。

筋腹と腱組織の幅を確認しながら触察していきます。

腱組織を触察する時は筋腹の時よりやや強めに

圧迫を加えると触察しやすいかと思います。

3.1で確認した筋腹より近位(上腕骨側)の触察

1で確認した筋腹から上腕骨の外側縁(遠位1/3あたり)までたどります。

筋腹の幅を確認しながら上腕骨に圧迫を加えながら触察していきます。

1で長橈側手根伸筋との鑑別をしっかりできていれば問題ないかと思いますが、

長橈側手根伸筋と鑑別ができていなければ

腕橈骨筋の走行を見誤ってしまう可能性がありますので、

注意して下さいね(^^)

触診方法は以上になります。

ポイントは

抵抗をかける場所と

腕橈骨筋と長橈側手根伸筋を見分けることです♪

手関節より遠位に抵抗を加えないように注意して下さいね♪

動画でご覧になる方はこちらからどうぞ♪

<経絡・経穴を使った腕橈骨筋へのアプローチ>

腕橈骨筋へのアプローチは様々あると思いますが、

ここでは経絡を利用したアプローチを紹介させて頂きますね。

もしよろしければ1つの選択肢としてご活用下さいませm(__)m

腕橈骨筋と関連のある経絡としては

肺経

大腸経があります。

ここでは腕橈骨筋と大腸経にフォーカスを当ててお伝えしますね。

腕橈骨筋には大腸経の経穴(ツボ)があります。

それが手三里です。

場所は

肘を十分に屈曲させた時にできる肘窩横紋外端の陥凹部を触ります

そこから親指2横指分下方にあります。

解剖学的には

腕橈骨筋、そしてその深部に長橈側手根伸筋・短橈側手根伸筋・回外筋がある場所です。

腕橈骨筋にアプローチする際に経絡や経穴を意識するメリットとは

〇腕橈骨筋の調整だけでなく、大腸経が活性化するので、

経絡ライン上の筋(肩周囲や顔面筋などなど)の調整になる!

大腸経の経絡ライン上の筋はこコレです!

➡背側骨間筋・長母指伸筋・短母指伸筋・前腕伸筋群・上腕三頭筋・腕橈骨筋・三角筋・上腕二頭筋・僧帽筋・棘上筋・広頚筋・胸鎖乳突筋・口輪筋・小頬骨筋・上唇挙筋

〇大腸経が活性化するので、大腸の調整になる(大腸が緩む)

〇筋筋膜リリースの時短になる

というメリットがあります!

ですので、

筋筋膜だけでなく、経絡を意識したアプローチをすることで

内臓調整や経絡ライン上の筋の調整も出来てしまうというところが

良いですよね!おススメです♪

次にアプローチ方法です。

1つ目は先ほどお伝えした手三里を直接マッサージしてもらう方法です。

とてもシンプルでやや痛みを伴いますが、効果ありです。

2つ目は

大腸経の井穴や経穴である合谷を使って調整する方法です。

被検者の腕橈骨筋の筋硬結に指を当てます
セラピストはもう片方の手で合谷、または井穴を押圧します。
腕橈骨筋の筋硬結が緩んできたのを確認したら(60~90秒くらい)終了です。
※大腸経の井穴:人差し指の爪の付け根の橈側(経穴:商陽)

 合谷:手背側で第2中手骨中点の橈側

よろしければぜひ試してみて頂き、

アプローチの選択肢の一つにして頂ければと思います。

本日は以上になります。

最後までブログをお読み頂き、本当にありがとうございましたm(__)m

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