いつもALLアプローチ協会のブログを見て頂き有難うございます。
ALLアプローチ協会 代表 山口です。
今回は、セラピストの皆さんに向けて
「鼠径靭帯リリース〜腸腰筋・神経・血管圧迫する理由〜」
というテーマで記事を書かせて頂きたいと思います。
皆さんは、鼠径靭帯をリリースしていますか?
あまり靭帯を調整するってなかなかやらないと思います。
ですが、施術する上で非常重要な組織なので、ぜひ知っておきましょう。
【鼠径靭帯について】
鼠径靭帯は、上前腸骨棘(ASIS)と恥骨結節の間に張る靭帯。
骨盤の組織となっておりますが、実際に胎生学的には、外腹斜筋の腱の延長です。
※外腹斜筋は、腸骨綾や鼠径靭帯に停止する
(第5~第12肋骨が起始、斜め前下方に走り、腸骨稜および鼠径靱帯に停止する)
寛骨を恥骨に対して安定させる役割を持っています。
大腿三角の上縁を作っている組織で、様々な神経や血管、筋肉を通しています。
恥骨や外腹斜筋に影響がある時にも機能障害を引き起こす。
◆大腿三角(スカルパ三角)とは?
鼠径靭帯、縫工筋、長内転筋で作られる場所
【鼠径靭帯内の解剖】
鼠径靭帯と寛骨でトンネルが形成されています。
このトンネル内に左から腸骨筋、大腿神経、大腰筋、大腿動脈、大腿静脈、恥骨筋(重なってる)、陰部大腿神経が走行しています。
このトンネルには、筋裂孔、血管裂孔という名前がついています。
(通るもの)
◆筋裂孔(鼠径靭帯と寛骨の間の内側部分)
腸腰筋(腸骨筋、大腰筋)、大腿神経、外側大腿皮神経
◆血管裂孔(鼠径靭帯と寛骨の間の外側部)
大腿動脈、大腿静脈、陰部大腿神経の大腿枝、リンパ管
【鼠径靭帯が短縮されると】
何らかの理由で鼠径靭帯が短縮されると、大腰筋や腸骨筋が収縮されると2つの筋肉に挟まれている大腿神経が滑走不全により圧迫されます。
(もちろん、大腿動脈、静脈にも影響が出ます)
結果、大腿四頭筋や縫工筋の筋出力の低下や下肢の痺れにも影響してきます。
【鼠径靭帯の評価】
最も簡単な評価は、鼠径靭帯のASIS側と恥骨外側部の圧痛点を評価するのが一番楽です。
(その他にも見るポイントとして)
・鼠径靭帯の影響でインフレアとなっているか?
・腸腰筋、腸骨筋の癒着はどうか?
・恥骨の動きは出ているか?
・外腹斜筋に問題はないか?
・腎臓の問題→外腹斜筋と影響しているか?(腎臓は、外腹斜筋に影響することが多い)
【鼠径靭帯リリースの適応症状】
・大腿付け根の痛み
・知覚異常性大腿神経痛(大腿前部の痛みや痺れ)
・大腿四頭筋の機能障害(座位から立ち上がり時の膝崩れなど)
・骨盤捻転(アウトフレアなど)
・股関節の可動性低下
・生理痛、PMS(骨盤アウトフレアにより)
・浮腫み
【鼠径靭帯リリースについて】
まず、鼠径靭帯が緩むポジションに誘導していきます。
股関節屈曲しながら内転方向に動かし、骨盤をインフレアの方向に誘導していくと、鼠径靭帯が緩みやすいポジションとなります。
そのポジションを維持しつつ、徐々に緩むタッチで緩ましていきましょう。
筋膜のつながりを使うのであれば、外腹斜筋を鼠径靭帯の方に徒手で近づけて鼠径靭帯にリリースをかけるとさらに早く緩んできますので、ぜひ実践してみて下さい。
本日の記事は以上となります。
最後までお読み頂き誠に有難うございました。
ALLアプローチ協会 代表 山口拓也