皆さん こんにちはALLアプローチ協会 触診大好きセラピスト ブル と申します。
本日は,新人セラピストの皆さんに向けて
「大腿直筋の機能解剖と触診方法」
というテーマについてお伝えしたいと思います。
どうぞよろしくお願い致します。
大腿直筋は大腿四頭筋の中で唯一の二関節筋ですね。
大腿直筋の浅層は羽状構造で、さらに速筋繊維が豊富ですので
速く力強い筋収縮に有利な形態をしています。
つまりそれだけ負担のかかる筋でもあります。
そんな大腿直筋の基礎知識についてまとめてみました。
【基礎知識】
起始:下前腸骨棘・寛骨臼の上縁および関節包
停止:共同腱へ移行後、膝蓋骨を介して脛骨粗面
支配神経:大腿神経(L2~L4)
栄養血管:大腿動脈
作用:股関節 屈曲 膝関節 伸展
アナトミートレイン:SFL(スーパーフィシャルフロントライン)
経絡:胃経
【大腿直筋の走行】
下前腸骨棘、寛骨臼の上縁・関節包に起始しています。
そして大腿骨長軸にほぼ一致した走行をしながら
共同腱、膝蓋骨を介して膝蓋靭帯となり脛骨粗面に停止しています。
大腿直筋の中央部は幅5㎝前後あり、これより近位、遠位ではその幅は減少していきます。
大腿直筋は共同腱に続きますので、その周辺の解剖をみていきましょう。
共同腱は二等辺三角形の形をしています。
その膝蓋骨底を底辺としています。
※膝蓋骨底は膝蓋骨の上端。下端は膝蓋骨尖。
その頂点が大腿直筋へと続きます。
内側からは内側広筋が、外側からは外側広筋が付着してその張力を膝蓋骨へと伝えています。
【筋のはたらき】
股関節屈曲と膝関節伸展に作用します。
大腿直筋は股関節と膝関節を跨いでいる二関節筋なので
同時に作用すると下肢伸展挙上運動(SLR)となります。
大腿直筋は下腿の回旋や
股関節の内転・外転にはほとんど作用しないといわれています。
足が地面についている状態(下肢が固定された状態)では
骨盤を前傾させる作用があります。
ですので、大腿直筋の短縮は腰椎を前弯させることもあります。
反り腰の方や腰椎前弯が増強していて脊柱管狭窄症などの症状がみられる方は
腸腰筋だけでなく大腿直筋の短縮もみていくといいですね♪
大腿直筋の短縮を評価する方法には、エリーテストがあります。
これは腹臥位で膝関節を屈曲することで大腿直筋を伸張させ、
いわゆる尻上がり現象が生じるかどうかをみる検査方法です。
この検査の精度をより高める方法として、
反対側下肢をベッドから降ろして股関節屈曲位にすることで骨盤後傾位を保持させながら、
検査側の膝関節を屈曲させるという方法もあります。
つまり骨盤前傾の代償をさせないで純粋に大腿直筋の短縮を評価できる
という点がポイントとなる検査方法です。
大腿四頭筋の解剖とはたらきについて確認していきましたので、
次に触診方法についてお伝えしますね。
【触診方法】
肢位:背臥位
ランドマーク:「下前腸骨棘」「膝蓋骨」
※下前腸骨棘の位置:上前腸骨棘から約2~3横指尾方やや内側に位置している隆起
次に手順についてです。
1. 補助線1を想定します。
補助線1は大腿直筋の走行の指標となる線です。
下前腸骨棘と膝蓋骨近位端を結ぶ線です。
2. 大腿直筋の筋腹を触察します。
補助線1を指標にして、下前腸骨棘から膝蓋骨に向かって筋腹を触察していきます。
大腿の中央部あたりでは幅5㎝前後の筋腹を内外側から挟むように触れることができます。
【触診のコツ】
〇大腿直筋は四頭筋で唯一大腿骨に直接付着していないので圧迫すると内外方向に移動し、
その輪郭をとらえにくいこともあるかと思います。
ですので筋腹を内外側から挟むように触れると行いやすいです。
〇大腿直筋は四頭筋で唯一の二関節筋であるため股関節屈曲・膝関節軽度屈曲位で保持
してもらうと収縮によって筋の輪郭がとらえやすいです。
※共同腱は筋肉と違い、とても強靭な繊維束となっていますので
硬さの違いを感じる事ができると思います。
できれば大腿直筋と共同腱との移行部を丁寧に確認してみて下さいね。
いかがでしたでしょうか。触る事ができましたか??
家族や友達、同僚の方々と練習してみてくださいね。
最後に大腿直筋のトリガーポイントについてお伝えして終わりたいと思います。
【大腿直筋のトリガーポイントについて】
〇発生場所とその症状について
下前腸骨棘のすぐ下部分(ASISから3横指程度下)や
大腿直筋と共同腱移行部周囲にトリガーポイントが発生しやすく、
その症状は大腿の下部前面や膝の奥深くに痛みを送ります。
〇発生の原因
長時間の座位を続けると、大腿直筋を短縮させることで
トリガーポイントが発生しやすくなると言われています。
他にも筋の酷使でもなり、
(股関節の屈曲を過度に強く繰り返す活動:ランニング・腹筋運動・サイクリングなど)
ハイヒールで頻繁に歩く事もトリガーポイントを生じさせる原因の一つになります。
トリガーポイントによる関連痛が、変形性膝関節症の痛みと混同されることがあるので注意が必要です。
大腿直筋の機能解剖と触診方法、トリガーポイントについてお伝えさせて頂きました。
皆様の臨床に少しでも役立てて頂ければ幸いです。
本日は以上になります。
ブログを最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。
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