筋膜テクニックに必要な解剖生理学を解説。
From 山口拓也
埼玉 越谷 治療院より
いつもALLアプローチ協会公式ブログをお読み頂き、
ありがとうございます!
今回は、理学療法士、作業療法士、柔道整復師に向けて
筋膜テクニックに必要な解剖生理学
というテーマでお伝えしていきます。
筋膜リリースや筋膜はがしによる治療をするセラピストが
非常にここ最近増えている印象があります。
そもそも腰痛や肩こりの原因が筋膜にあり、
筋膜のしわ・たるみ・癒着が問題であることが非常に多いです。
【筋膜治療に必要な知識とは?】
筋膜は、筋肉の一部であり筋膜と
筋肉自体のアプローチが必要な事をここで解説しています。
筋膜は、ラテン語のfasciaを日本語にしたものです。
ファシィア(フェイシャ)と発音する
ラテン語は物を包んだりする帯を意味します。
Fasciaは、日本語でいう筋膜にとどまらず
内臓の膜・骨を覆っている骨膜・関節を
連結している靭帯や筋肉を骨とくっつける腱までも含まれます。
筋肉に関する筋膜だけでも、
筋内膜・筋周膜・筋外膜・筋上膜
といった種類があります。
後は、浅筋膜と深筋膜の解説も必要になってきます。
ここから、筋膜の種類に関して解説させていただきます。
・浅筋膜とは…?(皮下筋膜)
皮下組織のなかに存在して全身を覆う最も浅層の筋膜です。
浅筋膜は皮下組織の中に存在しており、
皮下筋膜とも呼ばれています。
血管が存在しない透明で弾力性のある
疎性結合組織で構成されています。
深筋膜と浅筋膜の移行領域は
固有受容性神経終末が高密度に存在しており、
赤筋の約10倍とも言われている。
そのため、
筋膜は人体の中でも有数の感覚器官となっています。
・深筋膜とは…?(腱膜筋膜)
浅筋膜の下に位置して筋を連結して全身を覆う膜
深筋膜は浅筋膜のすぐ下に存在しており、
腱膜筋膜とも呼ばれます。
浅筋膜と同じく疎性結合組織で構成され、
筋を連結しながら全身を覆っています。
厚さは約1mmで、
斜め・縦・横方向の3層構造になっていて、
各層の間にヒアルロン酸が分布していることで
滑らかな動きを実現しています。
深筋膜には筋外膜から
筋繊維の一部が入り込んでいるため、
どちらか一方に障害が起こると
問題が派生していくことになります。
深筋膜は基本的に丈夫な構造ではありますが、
一度歪みが生じると治りが悪く、
離れた部位まで影響を与えます。
・筋外膜とは…
複数の筋周膜を包んで筋肉を覆う膜
筋実質を包んでいる膜です。
筋外膜は筋肉の中に入り込んで
筋束を包む筋周膜と連結し、
筋繊維を包む筋内膜とも連結します。
・筋周膜とは…
複数の筋内膜を包む膜
・筋内膜とは…
複数の筋原線維を包む膜
筋膜リリースとは?
私の言葉でまとめさせていただくと、
筋膜リリースとは筋膜を異常な状態から
正常に戻すための技術です。
皆さんに知っていただきたいのは、
筋膜が正常ではない状態を知って欲しいです。
【筋膜が正常ではない状態とは?】
①癒着の状態:潤滑剤の凝縮化による膜間の滑走性不良
(筋膜リリースの適応〇)
②筋膜が硬くなる:細胞外基質中における
糖たんぱく質の脱水と
繊維の高密度化による膜の圧縮
(筋膜リリース適応〇)
③筋膜が別の組織に変化:組織炎症や慢性炎症、
「癒着」と「硬化」の慢性化による膜の変性
(筋膜リリース不適応× 元に戻せません)
・筋膜リリースの目的
✔潤滑剤を元に戻して膜同士の滑走性を取り戻す
✔繊維の高密度化と基質のゲル化を解消して
膜の伸縮性・弾力性を取り戻す
以上のことを踏まえて筋膜治療をして頂ければと思います。
本日の記事は以上になります。
明日もあなたの臨床に役立てる記事を
作成いたしますのでぜひご覧ください。