みなさん、こんにちは。
ALLアプローチ協会 代表 山口拓也です。
本日も当協会の公式ブログをお読みいただきありがとうございます。
本日もセラピストや治療家の皆さんに臨床で使えるヒントやアイデアをお伝えしていきますね。
本日のテーマは「内臓治療の基礎知識」です。
内臓治療するときは3Dでイメージすることや周波数を合わせることが非常に重要になります。
しかし、皆さんもお分かりだと思いますが、それが難しいですよね。
ですから、今回はそれができるようになるために内臓治療のヒントをお伝えしていこうと思います。
【内臓治療の理論】
内臓の運動生理学には、「移動力、可動力、自動力」という3つの運動があります。
今からそれぞれ一つずつ解説していきます。
◆移動力
移動力は「身体を動かす時にそれに伴って臓器の位置が移動する」こと指します。
例えば、状態を右に側屈すると、腹部右側の臓器はその働きを受けて圧迫されます。
左側の臓器の付着部は、左側の体幹の壁が伸びるために引っ張られ、空間が広がります。
もし体幹右側屈時、左側の横隔膜や大腸に硬さが見られる場合は、可動域制限を起こしてしまい、痛みに繋がることがあります。
次に上体の前屈では、重力の影響を受けるので、つぶれないようにするために内臓は前方に移動します。
常に座りっぱなしの状態、デスクワークが多い人は、小腸や大腸を圧迫し蠕動運動を阻害します。
これらは便秘や座位に生じる腰痛や、立ち上がり時痛にも関係してきます。
また両手を引き上げて最大伸展すると、胸椎が伸展し、肋骨は吸気しやすいポジションになります。
肺も伸長して胸部の働きに連動するため、呼吸がしやすくなり肺の容量が増えます。
ですからデスクワークをしている人や、調理をしている人は常に腕が下がっているので、胸郭が硬くなり、呼吸制限が生じ、横隔膜の硬さに繋がります。
◆可動力
可動力とは、2つの内臓や器官同士、もしくは体壁、筋骨格系、その他の結合組織との間に生じる運動を指します。
この運動は、先ほどお伝えした移動力や自動性の原動力となっています。
*自動性とは、横紋筋や平滑筋が不随意に行う運動を指します。
それには、横隔膜呼吸、心臓の作用、胃腸の蠕動運動が含まれます。
◆自動力
自動力とは、それぞれの内臓に備わった固有の運動(振動、周波数)です。
これを感じるのは非常に難しいです。
◆内臓の連結
内臓同士の位置関係は、移動力、可動力、自動性を受けて変化し、運動系の関節と同じように動きます。
これには内臓同士という組み合わせ(肝臓と腎臓)と内臓と筋肉(肝臓と横隔膜)という組み合わせがあり、連結しているもの同士滑るような構造になっています。
さらに詳しくお伝えすると、連結しているもの同士の間は毛細血管で隔てられており、なめらかな膜(漿膜)や体液、神経鞘で覆われています。
仮に連結している部分に制限が生じると、内臓やその他の器官同士の動きが不良になり、滑走不全を起こしてしまいます。
それにより、移動力、可動力、自動性が落ち、疼痛の出現や内臓の機能が低下します。
では、つぎは、もう少し詳しく病理学的なお話をしていきます。
【内臓の運動の病理学】
◆可動力・移動力の障害
可動力・移動力の障害には、内臓同士の癒着・固着があります。
原因としては、感染、炎症、外傷、手術痕などがあります。
では、ここで簡単な例を挙げさせてもらうと、
肝臓に炎症が起きている肝炎の人は、可動力に制限が起きてしまいますので、隣接する横隔膜や腎臓にも影響を与え、そこで滑走不全が起こり、疼痛の原因にもなります。
◆内臓スパズム
内臓スパズムの影響を受けるのは、管腔臓器(医、腸、尿管など)だけで、これらの器官が刺激され、非生理学的に運動が生じると、器官の機能が損なわれる場合があります。
*スパズムとは
筋攣縮と言い、持続する筋肉の不随性収縮を指します。
原因としては、炎症、自律神経障害、アレルギー反応、心身の影響などです。
過敏性大腸炎などはこれに当てはまります。
靭帯の弾性の損失(下垂)
靭帯の付着部の弾性が失われると、横行結腸、腎臓、膀胱などの臓器が重力に従って下垂します。
そうすると、可動性や自動力が低下してしまいます。
原因としては、癒着の結果、急激な体重減少、加齢、妊娠後期などです。
なぜ内臓治療が必要なのか?
答えは単純です。
筋・骨格しかアプローチできないセラピストは、筋・骨格の評価しかできないからです。
だから痛みの原因が内臓にあれば、その患者さんは治せません。
筋・骨格だけでは診るべき視点が足りないです。
でも、内臓治療ができるセラピストは、以外筋・骨格に原因があっても治せるのです。
その違いは、内臓治療ができるのか、そうでないのかの違いです。
内臓治療ができれば、起床時の痛み、夜間時痛など、時間によって変わる痛みに対応することができるようになります。
また、今まで取り切れなかった重度の痛みや痺れに対しても対応できるようになります。
つまり救える患者さんの幅が広がり、社会貢献がよりできると言うことです。
ですから、もしこれを読んでいるあなたが「内臓治療をしたことがない」と言うのであれば、ぜひ勉強してみください。
きっと治療が楽しくなるはずです。
本日はここまでです。
本日も当協会も公式ブログをお読みいただきありがとうございます。
ALLアプローチ協会 代表 山口拓也