頭蓋仙骨療法

【頭蓋仙骨療法】脳脊髄液(CSF)の循環に関する「最新論文」情報について

ALLアプローチ協会 関東支部長
鈴木正道です。

今回は、
「脳間質液、脳脊髄液(CSF)の最新論文の情報」
をお伝えさせて頂きます。

脳脊髄液(CSF; cerebrospinal fluid)は

脳脊髄を取り囲むクモ膜下腔と脳室系ならびに

脊髄中心管を浸す無色透明無臭でサラサラした液体(漿液)

であるとされている。


大人のCSF 量は 常時 150 mL程度であり、

一日の産生量が 450 mLであることからすると、

一日に3回入れ替わっている計算になる。


CSF は、神経系の水分量緩衝、栄養素・老 廃物・生理活性物質の運搬、

脳圧制御、衝撃吸収などの作用を発揮して脳を保護している。

成分からみると、総蛋白濃度 15~45 mg/dL、IgG 濃度 0.8~5.0 gm/dL、

ブ ドウ糖濃度 50~80 mL/dLという風に、血漿と比較して

溶け込んでいる物質の濃度は総じて低く、

通常アニオン化する蛋白の濃度が低いことを代償するが如く、

塩素イオン濃度は 110~130 mEq/Lと血漿より高いのが特徴です。

細胞数にも乏しく、ごく少数の単球マクロファージや
リンパ球が浮遊しているにとどまる。

髄液はどこで生産されているのか?

髄液は脈絡叢で作成されているとされてきたが、

脈絡叢を摘出しても髄液産生のかなりは

維持されていることなどから、

髄液産生は脈絡叢だけではないと考えられる。

2014年ぐらいの報告では

Oreskovicらは脳毛細血管(脈絡叢も含む)からの

髄液産生を提案している。

彼らは毛細血管から静水圧差で組織液が産生され、

この組織液は浸透圧差で毛細血管に吸収されるが、

一部は髄液と一体となり脳室やくも膜下腔への

髄液供給源になるとしている。

従来髄液は第3循環とされたこともあって

他の臓器とことなると考えられてきたが、

彼らは水の産生吸収に関しては

脳も他臓器と同じとしている。

実験で、中脳水道完全閉塞モデルでも頭蓋内圧は上昇せず、

脳室拡大もなかったことから毛細血管が主たる髄液吸収の部位であるとしている。

髄液の産生吸収の主たる部位が脳の毛細血管であり

髄液が一方向に流れて下流の組織に髄液を供給するのではないとすれば、

脳室やくも膜下腔の髄液供給も従来とは根本的に異なることとなります。

忘れちゃいけない脳脊髄液の役割:伝達

一般的な神経伝達であるsynapse transmissionに対して

volume transmissionという考え方が存在します。

いわゆる液性伝達、血液で言えば内分泌に当たる機能です。

周辺の組織に液性伝達物質を介してシグナルを送る

と考えられていて、脳脊髄液を介して相当遠くの組織まで、

例えば下垂体から松果体に液性伝達物質が伝達され

相互に作用する機序を特にCSF signalingと呼んでいます。

【最近のトピックス】

最近の研究動向では嗅神経の他に

三叉神経や脊髄神経にも関心が集まっているそうです。

ここで、末梢神経の機能解剖を整理してみると

神経束の最外表は神経上膜(粗性線維性結合組織性被膜)で被包され、

その内部は神経周膜と呼ばれる線維性隔壁で間仕切りされ、

さらにその内側は神経内膜で細かく間仕切りされています。

間仕切りされた各空間には神経線維が密集性に並走し、

神経線維とは神経軸索とこれを包み込んで

絶縁体の枠割を果たすシュワン細胞をひとまとめにした構造であり、

髄鞘形成の有無から有髄線維と無髄線維に分類されます。

CSF 排出路の最有力と目される神経周囲(周膜)腔は、

神経根が硬膜を貫く際にクモ膜下腔から連続する空間です。

私はCSFが神経周囲腔を経て到達した神経束末端から

全身組織の細胞外腔にじんわりと漏れ出し、

最終的にリンパ管に取り込まれるものとしてイメーしていました。

ところが驚いたことに、クモ膜下腔に色素を注入する実験では、

比較的速やかに傍脊柱リンパ節に拡散移行する現象が肉眼的に

観察されるらしいです(未発 表データ)。

つまり、CSF がリンパ管に移行するのは神経末端ではなく、

より脊柱近位部である可能性が指摘されているそうです。

CSFが神経束外へ漏れ出す現場を電子顕微鏡などで取り押さえれば、

より説得力のある研究成果として評価されることは間違いないと思います。

現状、脳脊髄液は脊髄レベルでリンパに吸収され末梢神経の中に

流れているのかどうかはまだ分かっていない。

しかし、脳を包む硬膜はそのまま末梢神経末端まで一連の膜になっている。

なので、どんな液体が神経の中をどう流れているかは研究をまって、

頭蓋骨の中の硬膜は全身の末梢神経から膜として引っ張られることは

きちんとイメージしておきましょう。

本日は以上となります。

皆様のお役に立てれば幸いです。

ALLアプローチ協会 関東支部長 鈴木正道

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