ALLアプローチ協会 関東支部長 鈴木 正道です。
今回は「歩行・姿勢を整える股関節伸展と内臓調整に関して」お伝えさせていただきます。
股関節伸展に重要な要素をお伝えさせていただきますが、
股関節の伸展が出ないとどういったことが起こるか
私が臨床上困るケースが
・股関節伸展できず寛骨の前傾・腰椎過伸展で代償するケース
・大腿直筋・大腿筋膜張筋の過剰な股関節屈曲固定
・脚長差
・フロントラインの緊張による足部のアライメント不良
股関節の伸展が出ないことで姿勢に影響する要素は、挙げればきりがないのでしょうが、
この股関節の伸展を引き出すときにみなさんは、制限の理由をどのていど挙げられるでしょうか?
もちろん手術による癒着や拘縮もありますが、
挙げてみると、フロントラインの制限として
前脛骨筋、大腿直筋、腹直筋の前脛骨筋や足部内側アーチに影響する要因として
後脛骨筋や大内転筋の影響もあります。
もちろん
・大腰筋・腸骨筋の伸長性
・大腿筋膜張筋の伸長性
筋力の関係性では、歩行中の股関節伸展可動域には、股関節屈筋筋力と外転筋力が影響を与えているとの報告もある。(THA術後患者の研究)
おそらく股関節伸展外転の制限になる内転筋の短縮や滑走不全
内側ハムストリングスとの癒着による伸展・外転筋力の低下が伸展可動域に影響を与えていると考えられますね。
また股関節屈筋が伸展可動域に影響を与えているというデータも
興味深いですが、いつも大腰筋の循環や硬結を
リリースしたり、大腰筋が働きやすい身体環境を整えると屈曲の可動域や屈曲の筋力も上がり、
股関節の伸展可動域も改善する経験をしていると
「やっぱりそうだったんだな」と納得させていただける
ありがたい研究結果もあります。
大腰筋が働きやすい環境を作り出すために
筋膜張筋、大腿直筋のコンディショニングを
している時に気づいたのですが、
子宮・膀胱のアライメントを整えていくと筋膜張筋・大腿直筋・大腰筋を
同時に調整しながらアウターインナーバラスを整え
股関節の伸展可動域を改善できることに気づきました。
解剖・運動学的にもなっとくできる物だったので解説させていただきます。
みなさんご存知の鼠径靭帯ですが、
この鼠径靭帯ってみなさん学校で習ったときは
下の図のような一本の筋のような靭帯として習いませんでした?
鼠径靭帯は膜の中の肥厚部だという認識でとらえられるようになると良いですね、
そしてさらに、腹腔内との連結を知ることで大腿前面の膜の固さを
取ることに腹腔内の調整をする意味が分かってきます。
◆鼠径靭帯と深部のつながり
鼠径靭帯は恥骨上枝の上から深部に入り込み
内腹斜筋・腹横筋の深部、横筋筋膜に連結することがわかります。
◆腹腔内鼠径靭帯
そして、腹腔内に広がる横筋筋膜の中で
肥厚部に鼠径靭帯という名がついていることが分かります。
この横筋筋膜は腸骨の内側で腸骨筋・大腰筋を包んでいる膜なので、股関節伸展には深部まで影響してきます。
◆大腿前面と鼠径靭帯
小腰筋は鼠径靭帯と連結しているということです。
小腰筋の腱が鼠径靭帯まで伸びています。
さらに鼠径靭帯自体が、大腿前面を覆う膜の肥厚部です。
後ほど説明しますが、
筋膜張筋と腸脛靭帯もこの一連の膜の中の一部になってきます。
次に子宮・膀胱です。
◆子宮・膀胱と骨盤の連結
子宮と膀胱は骨盤の中から連結する靭帯や膜で固定されています。
なのでこれらの臓器は骨盤アライメントや骨盤の動きに大きく影響するとともに、
横筋筋膜が名前を変えながら膀胱の前面まで広がっていく様子が描かれています。
深部で膀胱にも影響をする組織が鼠径靭帯を含めた
大腿前面の膜からつながっていることが、今までの図の中でわかります。
私たちのセミナーの中で筋膜張る筋を使って子宮を調整する方法がありますが、
これを応用して、鼠径部の膜の固さをとりながら
膀胱・子宮にアプローチしていくと大腰筋・腸骨筋の
機能不全にも影響し、股関節伸展可動域や屈筋筋力の改善につながり、
姿勢悪化の原因となる股関節伸展制限の改善にアプローチしていくことができます。
是非これらの構造を理解し、内臓・靭帯・筋に同時にアプローチしてみてください。
本日は以上です。
ALLアプローチ協会 関東支部長 鈴木 正道