皆さん、こんにちは。
ALLアプローチ協会 代表の山口拓也です。
今回は、「頭蓋仙骨療法における蝶形骨リリース」について、解剖学と臨床の両面から分かりやすく解説します。
【蝶形骨とは?】

蝶形骨(ちょうけいこつ)は、頭蓋骨のほぼ中央に位置する骨で、羽を広げた蝶のような形をしていることから名付けられました。
22個ある頭蓋骨の中でも、多くの骨と連結しているため、「頭蓋骨のハブ」とも呼ばれる重要な骨です。
【蝶形骨の3つの重要部位】

蝶形骨は、大きく3つの部位から構成されています。
小翼(しょうよく)
- 眼窩(目のくぼみ)の一部を形成
- 視神経が通る「視神経管」がある
大翼(だいよく)
- 側頭部・眼窩外側・頭蓋底を構成
- 前頭骨・側頭骨・頬骨などと連結
- 頭蓋全体の安定性に関わる
翼状突起(よくじょうとっき)
- 内側翼突筋・外側翼突筋が付着
- 咀嚼・嚥下・顎運動に関わる
蝶形骨は、頭蓋底だけでなく、視覚や咀嚼機能にも深く関わっています。

【蝶形骨と接している骨】
蝶形骨は全部で8つの骨と連結しています。
- 前頭骨
- 頭頂骨(左右)
- 側頭骨(左右)
- 後頭骨
- 篩骨
- 頬骨
- 口蓋骨
- 鋤骨
特に後頭骨との間には**蝶形後頭結合(SBS)**があり、頭蓋仙骨療法では重要な評価ポイントとされています。

蝶形骨とトルコ鞍
蝶形骨の中央にはトルコ鞍(Sella Turcica)というくぼみがあり、その中には下垂体が収まっています。
下垂体は、
- 成長ホルモン
- TSH
- ACTH
- LH
- FSH
- プロラクチン
など、多くのホルモン分泌を調節する重要な器官です。
また周囲には、
- 視神経
- 内頸動脈
- 海綿静脈洞
など、生命維持に重要な構造が集まっています。

蝶形骨と脳神経
蝶形骨には、視覚や眼球運動、顔面感覚に関わる脳神経が集中しています。
視神経
視神経管を通り、眼球から脳へ視覚情報を伝えます。
動眼神経
上眼窩裂を通り、眼球運動や瞳孔の調節を行います。
滑車神経
上眼窩裂を通り、眼球を下方・内側へ動かします。
三叉神経
- 第1枝:上眼窩裂
- 第2枝:正円孔
- 第3枝:卵円孔
顔面感覚や咀嚼運動を担います。
外転神経
上眼窩裂を通り、眼球を外側へ動かします。

蝶形骨と視力
蝶形骨は視神経や眼球運動に関わる神経が集まるため、視覚機能を理解するうえで重要な骨です。
- 視神経は視神経管を通る
- 動眼神経・滑車神経・外転神経は上眼窩裂を通る
このように、蝶形骨は「見る」という機能に深く関わっています。

蝶形骨と咀嚼筋
蝶形骨の翼状突起には、2つの咀嚼筋が付着しています。
内側翼突筋
- 下顎を持ち上げる
- 噛みしめる動きを補助する
外側翼突筋
- 下顎を前方・左右へ動かす
- 開口や顎関節円板の動きに関与する
食いしばりや歯ぎしりでは、これらの筋肉や顎関節へ負担がかかることがあります。

頭蓋仙骨療法での考え方
頭蓋仙骨療法では、蝶形骨を単独ではなく、
- 頭蓋骨全体
- SBS
- 顎関節
- 咀嚼筋
- 頸部
などとの関連性を評価しながら施術を行います。
なお、蝶形骨への施術によって視力やホルモン分泌、脳神経の機能が改善することは、現時点で科学的に確立されているわけではありません。
そのため、解剖学に基づきながら、身体全体のバランスを評価することが重要です。
まとめ
蝶形骨は、頭蓋骨の中心に位置し、多くの骨・脳神経・筋肉・血管と関わる重要な骨です。
頭蓋仙骨療法では、蝶形骨だけを見るのではなく、頭蓋全体や身体全体とのつながりを踏まえて評価・施術を行います。
まずは蝶形骨の解剖学を正しく理解することが、安全で質の高い頭蓋仙骨療法につながります。
ALLアプローチ協会 代表 山口拓也

























