ALLアプローチ協会 関東支部長 鈴木 正道です。
今回は、「セラピストのタンパク質指導パート2」についてお伝えしたいと思います。
前回の続きをお伝えしたいと思います。
前回の内容は
【基本】
・年齢、ライフステージごとのたんぱく質必要摂取量
【リスク】
・脱灰、腎機能障害に対する説明と否定的意見のまとめ
【問題点】
・カロリーオーバー
・内臓疲労
について説明させていただきました。
今回は、【問題点】の続きから書かせていただきます。
問題③腸内環境の悪化
大腸には100種類以上、100兆個にも及ぶ腸内細菌が生息しています。
これらは善玉と悪玉、どちらでもない日和見菌と
大きく分けて三つのグループで構成されます。
一番多いのは日和見菌、次に善玉菌、悪玉菌が一定量生息しています。
動物性タンパク質を摂りすぎると、体に吸収されなかったタンパク質がそのまま腸内に送り込まれます。
腸内に贈られたタンパク質は、悪玉菌のエサになってしまうので、腸内環境の乱れが発生しやすくなります。
本来、一番少ないはずの悪玉菌が増えてしまうと
腸の運動が弱まり、食中毒菌や病原菌による感染の危険性、発がん性を持つ腐敗産物が多く作られてしまう可能性があります。
腸内細菌が健康的な状態であるかどうかを知るには、便を観察してみてください。
色は黄色、もしくは黄色がかった褐色です。
多少のにおいがあっても臭くはなく、バナナのような形で柔らかいものが理想とされています。
逆に黒っぽく嫌な臭いがある便は、腸内細菌のバランスが悪くなっている状態といえます。
現在日本は大腸癌発生が増えています。
前回お伝えした消化酵素の加齢による減少に加え、
・脱水傾向な高齢者、
・運動不足な高齢者
・糖質過剰摂取な高齢者
・歯が弱ってきていて十分に咀嚼できず、未消化なたんぱく質を腸に多く送ってしまう高齢者
・肥満な高齢者
・胃が弱っている高齢者
・逆流性食道炎の高齢者
こういった方々が肉をモリモリ食べて健康になると思いますか?
セラピストまで。テレビの情報に踊らされていては、救える患者様も救えなくなります。
ではこれから、たんぱく質摂取に関して患者様に説明していくための情報をまとめさせていただきます。
ポイント①
患者様のやっていることを最初から否定しない。
テレビを見て、喜んで肉をバクバク食べている。
患者様を否定してもなかなか関係性は作れません。
また、その生活をしていて、すこぶる健康なのであれば、無理に指導する必要はないかもしれません。
しかし、患者として来ているのであれば何かしらの問題があるので注意しましょう。
ポイント②
どれくらい食べたらいいのか?
▪肉類(100gあたりタンパク質含有量)
生ハム(24.0g)、鶏ささみ(23.0g)、
ローストビーフ(21.7g)、
牛もも肉(21.2g)、豚ロース(19.3g)、
鶏砂肝(18.3g)、ロースハム(16.5g)、
ウインナー(13.2g)となっています。
▪魚介類(100gあたりタンパク質含有量)
イワシ丸干し(32.8g)、いくら(32.6g)、
焼きたらこ(28.3g)、するめ(69.2g)、
かにかまぼこ(12.1g)、
魚肉ソーセージ(11.5g)
などがあります。
▪卵類(100gあたりタンパク質含有量)
卵黄(16.5g)、ピータン(13.7g)、
ゆで卵(12.9g)、
ウズラ卵生(12.6g)、生卵(12.3g)、
ポーチドエッグ(12.3g)、卵白(11.3g)、
ウズラ卵水煮缶(11.0g)です。
▪大豆製品(100gあたりタンパク質含有量)
きな粉(35.5g)、油揚げ(18.6g)、納豆(16.5g)、
がんもどき(15.3g)、厚揚げ(10.7g)、
こしあん(9.8g)、豆腐(6.6g)、豆乳(3.6g)
となっています。
▪乳製品(100gあたりタンパク質含有量)
パルメザンチーズ(44.0g)、脱脂粉乳(34.0g)、
プロセスチーズ(22.7g)、カマンベールチーズ(19.1g)、
クリームチーズ(8.2g)、植物性生クリーム(6.8g)、
ヨーグルト(4.3g)、牛乳(3.3g)です。
ただ乳製品は各商品によりタンパク質含有量に差がありますので成分表記で確認しましょう。
この表を見て具体的にどのくらの物を食べていったらよいのか具体的にイメージして説明しましょう。
牛肉では高齢な女性で200g程、ステーキ一枚ほどですね。
毎日ステーキ1枚分の肉を食べる若い人には問題ないかもしれません。
しかし、高齢者が毎日食べるとなると話は違ってきますね。
そしてたんぱく質も吸収率があります。
前回のメルマガでもお伝えしましたが、
一日に必要なたんぱく質は、大体約体重1キロに対してたんぱく質1g
ボディービルダーみたいな方や部活をしている運動部の高校生などは
倍摂取する必要もありますが、高齢な方には通常の指導で大丈夫です。
次回のメルマガでは、アミノ酸スコアに関しての話と
プロテインの話・たんぱく質吸収率の問題・研究的なたんぱく質必要量と
分子栄養学的たんぱく質必要量の話についてお伝えさせていただきます。
本日は以上です。
ALLアプローチ協会 関東支部長 鈴木 正道