解剖学

【解剖学・触診】スカルパ三角の臨床意義と触診方法・役割について

皆さん こんにちはALLアプローチ協会の 触診大好きセラピスト ブル と申します。

本日は1~3年目の理学療法士・作業療法士・柔道整復師・整体師など

新人セラピストの皆さんに向けて

「そうだったの!?スカルパ三角の臨床意義と触診方法」

というテーマについてお伝えしたいと思います。

どうぞよろしくお願い致します。

前回、前々回のブログでは大腰筋や腸骨筋について記事を書かせて頂きました。

これらの筋は、スカルパ三角と呼ばれる場所を通過しています。

スカルパ三角は大腿骨頭の指標になったり、神経や血管の通り道にもなっています。

筋や血管、神経、靭帯、骨の位置関係をイメージできて、

しっかり触れるようになっていきたいですね。

それでははじめていきますね。

【スカルパ三角とは?その解剖学的特徴】

スカルパ三角とは、鼡径靭帯・縫工筋・長内転筋の三辺によって構成されています。

※鼡径靭帯:ASISと恥骨結節をつなぐ靭帯

血管や神経、筋などはこの鼡径靭帯の深層を通っています。

この鼡径靭帯の深層にはルートが2つあります。

1つは血管裂孔で大腿静脈・大腿動脈が通ります。

2つ目は筋裂孔とよばれ、大腿神経・腸骨筋・大腰筋・大腿外側皮神経が通っています。

腸腰筋のさらに深い場所には大腿骨頭が位置しています。

さらにスカルパ三角の中には恥骨筋が存在していますので、

恥骨筋の触診やアプローチのポイントにもなりますよ♪

【スカルパ三角の臨床的意義・臨床との接点は?】

一言でいうと「触れる場所」 です。

一般的には大腿動脈の脈をとれる場所としてスカルパ三角は使用されます。

また、大腿骨頭が位置していますので、

変形性股関節症などの股関節疾患ではスカルパ三角での圧痛が認められます。

でもこれだけじゃないんですね♪

ポイントを2つ紹介させて頂きます。

まず1つ目は「大腰筋や腸腰筋を触れるのによい場所」なんです。

以前のブログでは大腰筋を腹部から触診する方法をお伝えさせて頂きました。

もちろんこの部位はトリガーポイントが発生しやすい部位ですし、

筋腹も一番太い場所で腰痛や膝痛などにも影響するとても重要なポイントです。

ただ腹部内臓のさらに奥にありますので直接触る事は難しいですよね。

それに対してスカルパ三角では筋がより表層にあるため、触知しやすいんですね。

筋の走行も恥骨部位でキュッとカーブして小転子に向かっていますので、

負担も大きく硬結ポイントになりやすい場所です。

スカルパ三角を触診できることは臨床上とても役立ちますね!

2つ目のポイントは重要な神経や血管が通過している点です。

大腿神経は股関節屈曲膝関節伸展を司る筋の支配をしています。

また、大腿前面内側の皮膚を支配している重要な神経です。

外側大腿皮神経は大腿の外側の皮膚を支配していますよね。

さらに下肢への栄養供給にとても重要な大腿動静脈が通過しています。

つまり、血流障害による冷え、

神経への影響による痺れや筋の機能障害など

様々な影響を与える可能性を秘めた場所であるということです。

スカルパ三角部の硬さなどをチェックしていくためにも

ぜひ触れるようになっていきたいですね♪

ではスカルパ三角の触診についてお伝えさせて頂きます。

【触診方法について】

被検者は背臥位になって頂きます。

ランドマーク:「ASIS」

触診の手順です。

1. 鼡径靭帯を確認します。

  鼡径靭帯はASISと恥骨結節をつなぐ靭帯です。

2. 縫工筋を確認します。

  縫工筋はASISのやや遠位に手を当て、内下方に走行する筋を触診します。

  股関節屈曲外転外旋してもらうことで収縮を確認しながら行ってみてください。

3. 長内転筋を確認します。

    1と2で確認したスカルパ三角の2辺の間にある窪みを

  圧迫しながら内側に移動させたときに最初に触知される筋腹が長内転筋です。

4. 1と2と3で囲まれた部位がスカルパ三角となります。

スカルパ三角のほぼ中央にあるのが大腿動脈になります。

指を当てて拍動を感じてみてください。

大腿動脈が確認できたら、そのすぐ外側に大腿神経があります。

コロッとしたものを触れたらそれが大腿神経です。

そして大腿動脈の外側には腸腰筋もあります。

ちなみに

外側大腿皮神経はそのさらに外側で縫工筋と鼡径靭帯がなす角の部分に存在しています。

つまり内側から

大腿静脈→大腿動脈→大腿神経・大腰筋→腸骨筋→外側大腿皮神経

という位置関係になっています。

合わせて恥骨筋の触診方法についてもお伝えします。

【恥骨筋の触診方法】

長内転筋と大腿動静脈の間にあるのが恥骨筋の触診ポイントです。

このポイントに指を当て、

股関節内転運動を反復してもらいその収縮を確認しながら触診してみて下さい。

いかがでしたでしょうか。触ることができましたでしょうか??

触診方法は前回の腸骨筋の触診ともよく似ていますね。

復習もかねてぜひ家族や友達、同僚とぜひ練習してみてくださいね。

腸腰筋の硬結ポイントにもなる重要な場所ですし、

大きく太い血管や神経の通り道でもありますから

スカルパ三角を構成する縫工筋や長内転筋の状態も重要ですね。

本日はスカルパ三角の臨床意義と触診方法についてお伝えさせて頂きました。

本日は以上になります。

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