皆さんこんにちは♪
ALLアプローチ協会 代表 山口拓也です。
当協会の公式ブログをお読みいただき、本当にありがとうございます。
本日も、
勉強熱心な理学療法士・作業療法士・柔道整復師・整体師などセラピストの皆さんに向けて、
明日からの臨床ですぐ使える治療テクニックや介入のヒントをお伝えします。
今回は、
【症例報告】下腿外側のシビレが運動連鎖のつながりで、8割以上改善した症例
というテーマでお話していきます。
「下腿外側のシビレ」
を訴える患者様は臨床上多くいらっしゃると思います。
私自身もこの「シビレ」
に対する介入で、すごく悩んできた時期がありました。
お医者さんからは、
「腰の神経が圧迫されていて痺れている。」
「腰の変形や脊髄の狭窄は手術をしないと治らない。」
と説明をされて、
「シビレは治らないものだ。」
「一生付き合っていくしかない。」
と痺れに対しては諦めているような患者様は多くいらっしゃいます。
でも、本当に痺れで悩んでいる患者様はたくさんいて、間欠性跛行もあって、
10分以上歩けなくて、休み休み歩くしかない。と悩まれている方を大勢診てきまいた。
そういった方に対して、「筋肉」であったり、
「内臓」、「経絡」、「神経・血管」、「栄養指導」などなど、
様々な視点で考え介入をしていくことで、
痺れや間欠性跛行が改善する方は多くいらっしゃいました。
お医者さんからは、
「骨や神経」
「腰から来ている」
とだけ説明を受けて、固定観念を持っている患者様やセラピストが多いと思いますが、
骨と神経、腰以外の視点で介入をしていくことで、
やはり、改善していくケースは本当にたくさんあります。
なので、我々セラピストが、
正しい評価をして、治療を展開していくことは大切であると。
私は思っています。
今回は、「運動連鎖」という視点を加えたことで、
下腿外側のシビレが8割以上改善した症例について皆さんとシェアさせていただきます。
【症例紹介】
60代女性。
診断名:変形性腰椎症
既往歴:関節リウマチ、両膝・足関節人工関節置換術(リウマチによる関節変形に伴い)
主訴:
① 下腿外側~足部にかけてのシビレ。
② 20~30分程度の歩行で、右足が引きずってくる。
足関節人工関節が入っているためか、
足関節の可動域制限が著明で、
距腿関節の可動域は良好でしたが、
距骨下関節の制限が著明で、
内反や外反の可動性がほとんどありませんでした。
「前脛骨筋」はかなりカチカチに硬くなっていました。
前脛骨筋自体を押圧し、瞬間的に筋のストレッチを図ると、
「シビレの症状が軽減する。」
といった評価結果が得られました。
この事から、「前脛骨筋の硬さが痺れの症状に関与している」
という仮説を立てることができました。
前値骨筋によって、「深腓骨神経」や「前傾骨動静脈」が包まれている。
といった解剖学的な特徴があるので、
神経や血管原性のシビレや思だるさの原因となりやすいです。
以上の評価結果と仮説から、実際に前脛骨筋のリリースを行いました。
しかし、ほとんど前脛骨筋の硬さは取れず、
痺れも少しは軽減したものの、すぐに症状が戻ってしまうといった結果でした。
(NRS10⇒8程度の変化量で、5分後には10に戻ってしまった。)
そんな患者様に対して、「運動連鎖のつながり」
を活かした評価、治療を行った結果、
NRS10⇒2まで痺れが改善するといった結果を出すことが出来ました。
そして、症状のもどりも抑えることができました。
いったいどういった理論で、評価・治療を行ったのか?
<歩行の運動連鎖と前脛骨筋>
「前脛骨筋」は歩行の運動連鎖では、
「LR(ローディング・レスポンス)」
「PSw(プレ・スイング)」
に関わる筋になります。
LRのタイミングで、足関節は
「背屈-内反」という動きを出しています。
「前脛骨筋」は、
「足関節背屈・内反」に作用する筋のため、
LRのタイミングで求心性に収縮する必要があります。
逆に、PSwのタイミングで、足関節は、「底屈―外反」
という動きを出しているので、「前脛骨筋」は伸張する必要があります。
このように、
「前脛骨筋」はLRとPSwの運動連鎖に関わっています。
<LR/PSwに関わる筋の評価と治療>
このLR/PSwに関わる他の筋に着目をします。
前脛骨筋以外には、「大殿筋上部繊維」、「中殿筋後部繊維」、「ヒラメ筋」、「中間広筋」など、が関わっています。
実際に、この4つの筋を評価すると筋硬結がみられました。
これらの筋を押圧しストレッチテストを行った結果、
「シビレの症状が軽減する。」
といった評価結果が出ました。
そこで実際に、4つの筋を治療した結果、
痺れの症状が10⇒2まで改善することが出来ました。
そして、
前傾脛骨筋を直接触れるような介入はしていないにも関わらず、
治療後に前脛骨筋の硬さが取れているといった現象がみられました。
<まとめ>
下腿外側のシビレに対する評価として、
「前脛骨筋」
である仮説を立てて、前脛骨筋自体のリリースを行ったが、
大きな変化は出なかった。
しかし、「運動連鎖のつながり」
で関係する筋にアプローチをすることで、
症状の大きな改善、前脛骨筋の柔軟性向上
といった結果を出すことができた。
つまり、
運動連鎖のつながりがある他の筋の影響によって、前脛骨筋自体の硬さを作っているといったことが考えられるということです。
この
「運動連鎖のつながり」
を皆さんの臨床で取り入れていただくことで、
また違った試験手から原因部位の特定と圧倒的な治療効果を出すことに繋がりますので、
是非参考にしていただけたらと思います。
本日は以上になります。
最後まで当協会の公式ブログをお読みいただき、本当にありがとうございました。
それではまた!
ALLアプローチ協会 代表 山口拓也