脂質の役割を考える {健康油って流行ってるよね?}
おはようございます。
all アプローチ協会 関東支部長 鈴木 正道です。
本日も当協会のメルマガをご購読いただきありがとうございます。
今日は理学療法士・作業療法士・柔道整復師の方へ向けて
「脂質の役割」についてお伝えしたいと思います。
脂質をについて学ぶ必要性は、摂取する脂質の質によって
エネルギーになるだけではなく、
体を作る細胞膜の材料になる、
ホルモンの材料になる
という点で重要です。
【エネルギー源としての脂質】
体に入った脂質のうち、エネルギーになるのは中性脂肪(トリグリセリド)です。
中性脂肪は胃液や膵液に含まれるリパーゼという消化酵素によってグリセロールと脂肪酸に分解される。
その後小腸からリンパ管に入るときに再び中性脂肪となり、リポタンパク(カイロミクロン)に乗せられる。
そして肝臓、脂肪、筋肉などの毛細血管を通るあいだにリポタンパクリパーゼにより、ふたたび脂肪酸とグリセロールに分解される。
こうして分解された脂肪酸を「遊離脂肪酸」といいます。
遊離脂肪酸は血中に放出され、たんぱく質の一種であるアルブミンに吸着されエネルギーを必要とする各組織に運ばれます。
脂質の消化吸収のポイントは一度小腸から門脈を通って全身に行くのではなく、小腸からリンパ管を通り全身を回った後、肝臓に入って代謝を受けることです。
→この特性は薬の効果を全身に運ぶメカニズムとしても使われる。
小腸からすぐに肝臓で代謝されては薬が体に作用できない。
薬は脂質といっしょに全身を回ってから肝臓で代謝される必要がある。
余った脂質は肝臓で中性脂肪として脂肪細胞に貯蔵され、エネルギー不足になるたびに遊離脂肪酸となって使用される。
※脂質がないとビタミンも取り込まれない。
ビタミンADEKは脂溶性ビタミンと呼ばれ脂質がないと体内にうまく取り込むことができなくなる。
ここで重要なポイントは脂質の消化は胃液・膵液・胆汁の分泌がうまくいかないと脂質をうまく分解できないところにあります。
胆汁・膵液は十二指腸に分泌され、脂肪を分解する。
内臓アプローチでは胃・肝臓・胆のう・膵液・十二指腸が評価・アプローチの対象となる。
【細胞の材料としての脂質】
体は60兆個もの細胞からできている。その一つひとつの細胞を形作るのに欠かせないのが
コレステロールと、脂肪酸とリン酸が結びついたリン脂質です。
コレステロールとリン脂質はともに細胞膜の主成分です。
細胞膜は細胞を外敵から守るバリアの役割だけでなく、栄養素や酸素を取り込んだり、逆に細胞内の老廃物の排泄行います。
そして、細胞同士の情報伝達も細胞膜が担うため、良い脂質をとれば良い細胞膜が作られます。
脳の神経細胞ですら脂質を主成分としています。
体を作る基本として脂質はとても重要となります。
【ホルモンの材料としての脂質】
ホルモンと言えば女性ホルモンや男性ホルモンを思い浮かべるかも知れませんが、性ホルモンだけがホルモンではありません。
体内では無数のホルモンが分泌され、時々刻々と生命活動を維持している。
消化も睡眠も血糖値の調整もストレス反応もすべてホルモンが関与しています。
そのすべてのホルモンの生成にコレステロールが関与しています。
体は必要なコレステロールの3分の2くらいは体内で作りだせるが、足りない分は外から補う必要がある。
その油の質次第でホルモンの質も変化してくるので注意が必要です。
【細胞膜とホルモン】
酸化についてのメルマガにて、細胞膜の酸化について話させていただきましたが、
質の悪い脂質は細胞膜を劣化させ、細胞膜にあるホルモンの受容体の反応を悪くするばかりではなく、
ホルモン自体の質も低下してしまうため、質の悪い脂質の摂取は、受け取る側もホルモン自体も機能を低下させてしまう恐れがあります。
【コレステロールって悪い奴なんじゃないの?】
患者様と話しているとコレステロールの話や、脂質の対するネガティブなイメージが強いようです。
おそらくその原因はLDLコレステロール(悪玉コレステロール)のせいではないでしょうか?
そもそも悪玉ってなんなんだ?
コレステロールには悪玉も善玉もなく、一種類しかありません。
コレステロールはリポタンパクというたんぱく質の一種に吸着され血流にのって体内を循環します。
先ほど遊離脂肪酸はアルブミンに吸着されて体内を巡るとお伝えしましたが、コレステロールはリポタンパクが運搬係となるのです。
遊離脂肪酸とコレステロールでは乗る船が違うと思ってください。
ここでHDLとLDLの話になります。
この二つは実はリポタンパクの一種なのです。
HDLは各臓器あ組織からコレステロールを回収し、肝臓に運ぶ役割のLDLは肝臓から各臓器や組織にコレステロールを分配する役割を担っている。
つまり、HDLコレステロールとLDLコレステロールの違いは
乗っているリポタンパクが回収係か分配係かの違いというわけです。
なぜ、悪玉と呼ばれるかは、過剰に各組織にコレステロールが分配されすぎると血管壁などで動脈硬化につながると考えられたからです。
しかし、脂質は全身に分配されるべきで、実際に体に悪さを起こすのは酸化や糖化といった反応の方が、細胞に与えるダメージは強いように感じます。
みなさんもコレステロールが悪者だという決めつけは間違いかもしれないという話は聞いたことがあったかもしれませんが、この話を参考にしていただければと思います。
次回は良い油についてお伝えさせていただきます。
今日も最後までメルマガを読んでいただきありがとうございました。
一日良い時間をお過ごしください。
鈴木 正道